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はじまりへの旅のtarokuのレビュー・感想・評価

はじまりへの旅(2016年製作の映画)
3.8
後半にあれこれ書きますが、何も考えずに観ても十分楽しめる映画だと思います。
全体的にそこまで起伏の激しいストーリーではないのに、脚本や演出の細やかさと役者の素晴らしい演技で、とても完成された映画に感じたし、何より子供達がビジュアル的にも人間的にもとても魅力的で本当観てられるなぁというのが率直な感想です。

富、社会性、思考力、知力、何でも高ければ良いってものでも、かといって丁度よければ良いのかって言うとそれも違って、今この瞬間の幸福度が高くても次の瞬間には不幸感でいっぱいかもしれなくて、幸福や成功ってなんだろう?と考えた。
この"なんだろう?"は人の感じる幸福の構造の謎という意味ではなくて、この家族はおそらく凡その幸福の構造を理解してそれを得ているわけであって、それでも常に満足しているわけではなくて、、
社会構造や幸福はもちろん、彼らが苦手だった他人の感情や"一般"社会についても深く構造理解が進んだとて、それでも人間に悩みは尽きないのだろうと思った。
人間にとって人生の正解や幸福は、"何が正解かわからない"のではなく、"正解なんてない"のだと本当の意味で感じた映画だった。

だからこそ、今この瞬間が最後の刻だと思って全力で生きることだけが、人間にできる唯一のことなんだろうなと。
答えはないと頭ではわかっていながらグルグル考えてしまうけど、不思議とポジティブな気持ちでいられる。そんな映画でした。
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