たどたどしくすすむ映画をみているうちに、しだいにほんとうに、画の中の彼女たちとともに、じぶんとそれ以外のすべてのものとの距離を ひとつひとつ確かめながら、呼吸をしているような気がしてくる。
語られることばたちはすべて、不安と共感をつねにおだやかにはらんでいて、あるとき、ふっと泣きそうになる。
あのきもちはなんだろう。
母型の中にただ存在している、ゆれる光と、やわらかな風と、無抵抗な水滴と、そして空気をつつむおおきな白を、彼女たちといっしょに見ているようだ。
いつからか、知らぬ間に、
わたしも内藤礼の生みだしたものを全身で体験していた。
くつをぬいで はだしになりたくなった。