近藤

グレイテスト・ショーマンの近藤のレビュー・感想・評価

グレイテスト・ショーマン(2017年製作の映画)
5.0
ミュージカル映画としてこれを超えるものは暫く出てこないのではという程の出来栄え。ラ・ラ・ランドがミュージカル映画の小難しさを払拭し、親しみを感じさせるものへとしてくれた一方、レ・ミゼラブルから脈々と受け継がれてきた、映画全体を包む悲壮感を未だに感じさせるものであったり、ハッキリと明言はせず考えさせられる内容であったことから、エンターテイメント映画としてはもう一つであった。
しかし、この映画はセンセーショナルな題材にも関わらず、大衆が楽しめるように非常に巧みに創りあげられている。それはさながらミケランジェロが大理石を悠然たる王にしたように、それはさながらフェルメールがキャンバスを美しい女性にしたように。
全編を通して流れるのは心踊る音楽、見惚れる映像、そしてそこに描かれる人々に心を惹かれ、スタッフロールまでタイムスリップしてしまう。
この映画の根底にあるのは
「最も崇高な芸術とは人を幸せにすることだ」
というバーナムの哲学そのものである。
姿形が「普通」とは違うそれぞれの個性を生かして観客を楽しませる。彼らにとってコンプレックスでしかなかった「個性」を受容し、アイデンティティとして昇華することで、真に自由な「個人」を確立するのだ。
「This is me」
なんとなく世間に流されてしまいがちな現代社会に生きる我々に熱く訴えかけてくるこの映画は間違いなく最高傑作だ。
近藤

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