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ネオン・デーモンのumeshioのレビュー・感想・評価

ネオン・デーモン(2016年製作の映画)
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2018/01/14

おーん。こういう話だったのか…
たぶんこの監督の作品は初めて観るのだけど、なんとなく思っている感じと違って衝撃だった。

始まってすぐに、長回しのような撮り方に ああこの作品はアーティスティックで奇抜でお洒落で余白がとてつもなく多くて、難解で、だからこそわたしは退屈に感じてしまうかもしれないなーと思いながら観ていたのだけど、杞憂だった。
確かにアーティスティックで奇抜でお洒落。どのシーンもまるでハイファッションの雑誌の1ページのよう。どこのカットを取ってもきっと絵になるし、とても美しくてうっとりする。だけどそれだけじゃない。ただただお洒落な映画だけでなくて、なんかこう…言いようのない魅力を持った作品だなと思った。ちゃんとメッセージがあるというか。そのメッセージを全部ちゃんと受け取って解釈できてはないんだけど。

わたしはどちらかと言うと作家性が高くて難解な映画は少し苦手なんだけど、これは眠たくならなかったしどちらかと言うと目が離せない危うさがあった。その危険でどこか気持ち悪くて、でも気味が悪いほど美しい感じが なんか見ちゃう 感があった。
なんだろうな。
ある意味ホラー映画みたいだったから、怖いもの見たさっていうのかな。
中盤まではただ難解でお洒落雰囲気映画なのかな?と思いきや後半大きく物語が動く。正直びっくりした。

わたしは最初からジェシーは自信に満ち溢れているように見えたし、 田舎から出てきた純朴な少女 には到底思えなかった。
最初の撮影のシーンから、メイクルームで初めてルビーと出会ったシーンから、彼女には隠しきれない自信があったように思う。ただそれがモデルの世界に入ると顕著になっただけで。
だからこそ主人公をただ可哀想だな…とかそういう風にも思えず、確かにルビーとあと2人のモデルはもう狂ってるとしか言えないんだけれど、狂ってるとしたらジェシーもだったよね、と思ってしまう。

ネオン・デーモン 確かにそういう存在だったのかなあ。

ジェシーが最初に出会ったカメラマンの男の子を切り捨てたところから、いや実はもっと前、最初から彼女はカメラマンの男の子とは住む世界が違う、狂気の世界の住人だったのかもしれない。狂気でないとやっていけない世界なのかもしれない。
なんにせよミステリアスで目が離せない、不思議な魅力を持った作品だと思った。
個人的には嫌いじゃない。
投げっぱなしじゃなく、余白部分もちょうど良くて、いろんなことを考えさせて、考察させてくれる感じも好き。

にしてもルビーの演技と最後のモデルさんの演技は素晴らしかったな?!
唾液垂らしながら目玉を飲み込むシーン、なんて妖艶でうつくしいんだろう。
(正直ジェシー、ルビーを受け入れてもいいんじゃない?…そんな2人が観たい!と思ってしまったよね)

WOWOW
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