このレビューはネタバレを含みます
傍目にはゆっくりゆっくり時間が流れていくように見えるけど、マルメロの最も美しい瞬間はあまりにも速く過ぎ去ってしまいとらえることができないのだなあ。
それでもその一瞬は確実に在り、目だけがそれをとらえ、それを手で掴むことを諦めきれなくて、ロペスは毎年毎年筆をとる。
改めてジャケットを見るとしみじみした気持ちになる。
マルメロに引かれた横線はロペスが今年掴み損ねた「永遠」の数。また来年ね、とマルメロは実を落とし、光は長めの眠りに落ちる。
でも夫がそうして何度でもはじめから描き直す一方で妻は同じキャンバスに夫を描き続けてるのすき。芸術の道は人それぞれ。