試写会で鑑賞しました。
大富豪の誘拐事件を誘拐犯視点で描くクライムサスペンスです。実在の事件を元にしているせいか犯行の顛末はあっけない印象がありますが、そこがリアルで面白いところなのかもしれません。
大富豪ハイネケンを演じたアンソニー・ホプキンスはさすがの貫禄でした。誘拐犯の前で余裕な口ぶりで老獪さを見せたかと思えば、ひとりの時にいらついた様子を見せたり。思ったよりも出番は少な目で、主役はあくまで犯人グループなので、レクター博士のような大活躍を期待すると肩透かしになります。
「大金を手にすることで失うもの」というテーマに驚くような新しさはありませんが、犯人グループや被害者であるハイネケンらの人物描写が丁寧で良かったと思います。
実際には事件の全てが公表・解明されていないらしく、映画でも謎の部分に含みが持たされていて余韻の残るラストも好きですね。
ハイネケン誘拐事件を知らなかったため、はらはらドキドキ楽しめたのですが、観終わってみると実際の事件をなぞっただけというかもう一ひねりあっても良かった気がします。
個人的には事件の後日談の話を膨らませれば、もっと映画ならではの大胆な解釈を盛り込めたのではないかと思います。
