あざらしおーじ

美女と野獣のあざらしおーじのレビュー・感想・評価

美女と野獣(2017年製作の映画)
2.8
前作のアニメーションが一時代を築く程完成されたものだっただけに、細部の描写やプロットの粗さが目立った。

基本的にアニメの名シーンは忠実に再現しようという試みは随所に見られたが、カメラワークや細部の動きがアニメのそれより遥かに大味につくられている。
単なるリメイクに留まるだけならまだ良かったが、蛇足なエピソードとキャラクターの表現によって、根本的なテーマである「真実の愛」や「自分らしく生きるということ」から逸脱している。
特に、ビーストの心情描写とガストンの周囲の人間描写が多少改変されており、問題提起であるビーストの問題点が機能していない上に、物語のきっかけをつくるべきガストンの役割が薄れている。
また、ラストでの執拗なまでのサブキャラクターの状況描写の差し込みによって、ベルのキスに至る衝動が伝わりにくくなり、感動までの勢いを失っている。
追加されたエピソードや設定はことごとく蛇足と言っていい。

トレーラーの方がテーマを忠実に描写しており、ワクワク感を煽っているので、
トレーラー100点
本編50点という印象。
あの『ドリームガールズ』をつくった監督とは思えない…

普遍的なテーマだからこそ、プロットに余計な改変をせずに、実写映画ならではの演出によって勝負して欲しかった。