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リトル・ボーイ 小さなボクと戦争のakaのレビュー・感想・評価

3.6
地面からの距離を見るんじゃない
空との距離を見るんだ

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舞台は第二次世界大戦の最中。
カリフォルニア州・オヘアという街に
小さな少年がいた。名はペッパー。彼は成長不良のため「リトルボーイ(ちび)」とあだ名され、周りの子ども達にいじめられていた。
しかし、彼には大好きな父親がいた。2人は互いを相棒と呼び、想像の世界で勇敢な冒険劇を繰り広げる。
そんな最愛の父親が、戦地へ向かうことになる。

父親が所在不明との連絡が入り、途方にくれるペッパーと家族たち。どうすれば父親は帰ってくるか。キリストの教えを基にした8つのリストを全てクリアすれば、願いが叶う、と司祭様から教えを受け、ペッパーは信じて奔走する。だが、リストには難題が1つ…
敵国である日系人のハシモトに親切をすること。

果たして、ペッパーの願いは神に届くのか…?

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優しい映画だった。

戦争映画だけど、単純なストーリーでレトロポップな雰囲気に仕上げられているので、悲壮感は少ない。
子ども主体の“純粋なこころ”が主題のため、凝り固まった差別意識への提起も伺える。
結末には納得できない人もいるかな。

広島に落とされた原爆が《リトルボーイ》と知ったメキシコ人監督が、平和のために描いた物語なのだそう。
途中、広島原爆の映像が流れ、息が詰まった。
アメリカ目線の戦時中を描いているので、もちろん日本は憎まれている。途中、表現に怒りを覚える人もいるだろうが、第三者のメキシコからの率直な視点なんだろうなと思った。
日本の美点や惨劇も描かれているので、単なるアメリカマンセー映画じゃない。

ペッパーの母親役であるエミリー・ワトソンの好演がよかった。
冒頭、彼女が父親とペッパーの妄想をたしなめるシーンが、『奇跡の海』の反対の立場になっているようでなんだか面白かった。

ペッパー役の子は、クロエ・モレッツちゃんと芦田愛菜ちゃんを足した感じですごくかわいらしい。演技がわざとらしいのも、いじらしく映るので目をつぶろう。

それにしても『ニューシネマパラダイス』しかり、“はみ出し者のオジサンとショタ”の物語に弱い私。
今回もまんまと泣かされました。
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