朧気sumire

追憶の森の朧気sumireのレビュー・感想・評価

追憶の森(2015年製作の映画)
4.1
ネットの検索で青木ケ原樹海を知って死ぬために日本を訪れたアーサーが樹海のなかで同じく自殺志願者のタクミと知り合ってさまよう話。
個人的にこれがカンヌ国際映画祭で発表されたとき不評でブーイング浴びたというのが信じられなかった。
男2人が森の中をひたすら静かに歩く画が続き起伏も無いので見終わるまで結構きついけど……それでも私は好き。


自殺目的で富士の樹海を訪れると始まりはネガティブだけど、最後まで見れば生きたいと願うことができるヒューマンドラマだった。
変に落ち込んでる時ってポジティブすぎる物よりもこういう後ろ向きな作品見た方が私は心が救われます。

なぜ樹海でたまたま出会った日本人が都合よく英語堪能なんだとか、タクミの妻の名前おかしいだろとか、作中で抱く違和感にはちゃんと意味があったことがラストで分かるのもまた心地良い。

富士の樹海を煉獄と捉える所は面白かった。確かに言われてみれば煉獄だ……アーサーも罪の意識でここに来たと言ってるし。
本人の言う通り取り返しのつかなくなる状況になるまで大事な事に気づかなかった、自分から知ろうとしなかったアーサーが「意味を知ることで希望を持つ」という展開も良かったーと思う。
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