Nako

黄金のアデーレ 名画の帰還のNakoのレビュー・感想・評価

4.0
ナチスに奪われた大好きな叔母の肖像画(クリムトの名画「黄金のアデーレ」)を返してほしい…アメリカへ亡命した老婦人が駆け出しの弁護士とオーストリア政府を訴える…実話です。

題材も興味深いものだし、この若手弁護士が四苦八苦して裁判を起こしていく(裁判をするためにはいろいろとルールがあるらしい)様子も面白い。

何より、この女性マリアの故郷オーストリアに対する複雑な思い…幸せな生活を奪ったナチスだけではなく、その彼らを受け入れた国への憎しみ…にハッとさせられました。

それから、マリアの実家ブロッホ家というのは、非常に裕福で芸術家のパトロンとして有名だったそう。先述のクリムトやマーラー、フロイト(…は、芸術家じゃないけどね)が、よく家に出入りしていたのだとか。
そして、さらに興味をひかれたのは、マリアを支えた若手弁護士は、作曲家シェーンベルクのお孫さん。マリアと同じような苦境を潜り抜けた祖父に思いを馳せながら、この件に奔走する姿には感動します。

歴史をたどる固いテーマではありますが、主演のヘレン・ミレンとライアン・レイノルズが時に強く、時に弱い、そしてとってもチャーミングな人物を演じていて、映画が明るい雰囲気に仕上がっています。

それから、特筆すべきは、弁護士の奥さま役のケイティ・ホームズ。美しく、ユーモアがあり、とーっても懐の深いお母ちゃんは高感度高し!です。
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