ハマー

ヴィクトリアのハマーのレビュー・感想・評価

ヴィクトリア(2015年製作の映画)
4.0
物語の開始時間4:30。
物語の終了時間約6:50。

全編1カット140分映画‼︎(スタッフロール含む)
カットとカットを繋ぐとかの小細工的編集無し‼︎
視覚効果(VFX)無し‼︎
俳優達に渡したのは、わずか12ページの脚本‼︎
俳優たちは、即興でセリフを発し、
撮影中に発生したハプニングもそのまま納め、
ベルリンの街を舞台に行動する登場人物たちの姿をリアルタイムで追う映画。

全ての人にオススメ出来る作品ではないですが、ワンショットムービーが気になる方には、オススメしたいです。
個人的には好きな映画でした( ̄▽ ̄)

特に
全編1カットだからこその
自然に訪れる各シーンの終わりが、
孤独感…空気感…虚無感…が何とも絶妙です。
1カットだからこそ、ありのままの時が映し出されるさまは、何とも言えない寂しさを感じさせてくれます…


しかし弱点もあり。
(ここからはいつも通りネタバレあり。今回も長いよ〜(^▽^;))







弱点その①
本編の映像が流れるまで少しスタッフロールが長い。(1分弱)
本編映像上にスタッフロールとか出したくない。という意図が分かります。
確かに意図は分かるんですが、1名ずつ載せていったので、本格的に本編の映像が流れる前に少し退屈に…
弱点その②
画面が映ったと思ったら、ポケモンフラッシュばりのライトビカビカの光量がちょっと目に辛い。
ポケモンフラッシュみたいに赤、青、白ではなく、全部白なので症状は出ないと思います。
しかしそれが結構眩しくて、ビカビカなるから目にくるw

また
1ショットであるが故の構成的な賛否両論意見もあると思います。
賛否両論その①
主人公が尻軽女、アホ女に見えてしまう。(リアルタイムならではの制約。)

主人公の女性が、ダンスクラブの帰りに初めて会う酔っ払い4人グループと出会う。そして、そのグループと夜の街を帰路するのだが……
『いやいや(^▽^;)ヤバイだろw
この女性は、身を守るという概念は無いのか?』
というぐらい素直で良い子みたいな感じなのが、逆に女性は引くのではないでしょうか…
(それともベルリンに住む男性は全員紳士なのか?w)
しかもお互い酒飲んでるし…
男の方は大体ベロベロ。朝の4時…
あってまだ2分くらい…4対1…
もう頭ん中は、ヤバイ方向へのワンショットしか思い付かず…(^▽^;)
そっちの方向に頼むから進まないでほしい…と祈ってました。
(結局、男4人は、馬鹿だけどそういうことはしない『仲間』的な奴らでした。)

今日会ったばかりの奴とキスシーンもあります。( ̄▽ ̄)
耐えれない人は耐えれないと思います。
例えお酒や薬の酔いがあるからといって、これは…という方には面白くない作品だと思います。


・お気に入りその①
最も好きなシーンは、開始5分くらいの一人で帰路するシーンです。
ダンスクラブでダンスをする主人公。明日の仕事もある為、スコッチ?を一杯クイッ!
としてから帰路に着こうとするシーン。

先程のダンスクラブで踊っていたシーンとは打って変わって、この孤独な空気感…
地下にあるお店から出て、階段上がって、止めてた自転車の施錠を外して……
と、全くもって普通の映画なら『帰路するシーン』なんてカットですよ!カット!w
全くもって映画映えしない『地味さ』しか無いからです。
しかし、この映画映えしない様なシーンこそ、僕らの世界への地続き感を感じます。
1カットだからこそ出せる映像としては贅沢。しかし僕たちの世界では、地味な現実味。
を感じさせてくれるのが堪りませんでした。

・お気に入りその②
意外にお気に入りのキスシーン
久々にキスシーンで萌えてしまいましたww( ̄▽ ̄)
お互いダンスしているのですが、
中々キスしないんですよ!これが!ww
「唇そこまでいってる!』
近づいては離れ…近づいては離れ…
映画が始まってまだ1時間半…
1時間半前に初めて会った男だというのに…
お酒や薬に酔った勢いもある…
様々な葛藤、理性、自制心、本能がぶつかりながら、
顔が近づくも離れ…後一歩で唇が重なりそうになるが離れ…で、
僕の心の中は、
『うわぁぁぁぁぁ‼︎』と叫びながらキュンキュンヘブン状態でしたww
『頼むから早くキスしてくれ〜‼︎俺の心が持たんんんんんッ‼︎』
と久々にキュン死にさせられましたw
キスした時は、思わず👏しちゃいました。
(キスしてからのベロチューはあんまりでしたが(^▽^;)w)

その後に『終わる』シークエンスがくる予感がしてたけど…それでも…だからこそ、その時のシーンを楽しませていただきました。

お気に入りその③
2時間20分後に受けるリアルタイムに感動。
最後の物語的終わり方については、賛否両論だと思います。
しかし、最後の結末よりも
僕は、最後まで観た時の『観客側』と『映画側』で同じ2時間20分が経過したことに深く感動してしまった。
2時間20分もあればここまでのことが可能なのか…
ここまで人生に差が出るのか…と同時間軸にいることが信じられないくらい人生の濃厚さに差があることを突きつけられた気分でした。

お気に入りその④
主人公を演じる ライアコスタ の演技力に👏。
見た目は普通の女性感がありつつも、何故か可愛く見える…とても良い俳優さんに見えました。
ゲーム:BEYOND Twosouls のジョディ(超能力無し版)を見ている気分でした。
そして、このライアコスタが凄い。
1カットだから、当然泣くシーンなんて、泣けなかったアウトですよ。
それなのに30分後等の泣くシーンでごく自然に見事に泣いている‼︎👏
このカメラが回ってからの何分か後に見事に泣いている点が素晴らしいかったです!
『これが役者か!』と久々に胸打たれました。
ハマー

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