らいち

モンキー・マジック 孫悟空誕生のらいちのレビュー・感想・評価

1.5
新作DVDレンタルにて。
あと3年以内に映画の興行市場規模がアメリカを抜くと噂されている中国で、2014年、200億円を叩き出したメガヒット作。TSUTAYAの新作コーナーで見つけ迷わず借りて観たが、「マジか!?」と絶句した。
物語は日本人がよく知る西遊記の前の話だ。どうして孫悟空が山に閉じこめられることになったのか、その背景にあった天界と魔界の争いのなかで、牛魔王と戦うことになった孫悟空を描いている。
出演は孫悟空演じるドニー・イェンをはじめ、チョウ・ユンファ、アーロン・クォックなど、役者として実力を兼ね備えた香港スターが揃い踏み。西遊記の知られざる物語を描いた、アクションファンタジーというパッケージの賑やかさも手伝い、期待値が上がったが、トンデモな映画だった。久々の地雷。
シーンのの95%を占めるであろう、CGがあまりにも酷すぎる。。。このご時世にプレイステーション2の映像レベルだ。ハリウッドのパクリB級映画の方がまだマシ。ガタガタなCGによる作り物と、実際の生身の俳優が同じ映像のなかで、あーだこーだ、やりとりしているのを見て、「これはコメディパートなのか」と考えてしまった。しかし、物語の熱量を見る限り、製作者たちは至って本気のようだ。CGだけではない。多くのクリーチャーが出てくるが、その着ぐるみ感が半端ない。主人公の孫悟空は、さすがにしっかり特殊メイクされているが、逆にドニー・イェンの顔が完全に潰れて誰が演じているのかわからない(笑)。その技術力を補うべき脚本もひどく幼稚で、正直、見るに耐えられない。
この映画を製作した映画会社は正気じゃない。ハリウッド映画も普及している中国市場で「さすがにこれじゃダメだわ」と誰も言わなかったのだろうか。。。しかし、公開してみれば、中国市場で年間ランキング3位という特大ヒット。観た人の満足度はわからないが、どう考えても異常だ。
感じるのは、中国という国のセンスだ。他国のキャラクターを平気でパクリまくる感覚と通じるものがあり、何かが盲目なのだと思う。ハリウッドの製作会社が中国の資本をアテにしてきている潮流が心配でならない。ハリウッドには「ノー」といえる勇気をもってほしい。
【30点】
らいち

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