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ワンダーウーマンのKYのレビュー・感想・評価

ワンダーウーマン(2017年製作の映画)
3.7
パティ・ジェンキンス監督作。

女性のみの一族のプリンセスとして生まれたダイアナは外の環境を知らず、さらに男性を見たこともなかった。ある日、彼女は浜辺に不時着したパイロットと遭遇。彼を救出したことをきっかけに戦争を止めるため外の世界に出る事に。

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DCEUシリーズは『マンオブスティール』も『バットマンVSスーパーマン』も観てないけど、パティ・ジェンキンスの新作という事で鑑賞。前半は予想外に面白かったけど、クライマックスで寝そうになった。

前半はいい意味で裏切られた。女性の権利の象徴としてのキャラクターだけに『戦う女』としてのカッコよさを全面に出すのかと思ったら、『ローマの休日』の王女の様に衣装着替えてアイスクリームを食べて女子の楽しみを満喫したり可愛い。

漫画『キングダム』の羌瘣もそうだけど丁寧にクールさや女傑一族の女としてのキャラを描けば描くほど、社会に慣れてない事へのギャップが可愛く映る。戦う女であることは、必ずしも女性としての可愛いらしさを失うものではないという重要なポイントが描かれてる。

そしてそこから前半のハイライトとなる西部戦線の場面に移行していくが、それまでの神話的なストーリーや『ローマの休日』的な緩さとのギャップを生かした戦場のリアリティで見せる作りになってて凄い。色んな角度から映画を見せてくれる。

ただ、この色んな角度から映画を見せてくれる事が良くも悪くも後半一気にダレさせる要因になってるとも思った。戦争を終わらせるという大目的に一直線に向かわないから、起承承転結の物語構成の転にあたるアレスに関する事実のひっくり返りで、観客が驚きづらい。

加えて前半から丁寧に積み上げて来た西部戦線の臨場感やワンダーウーマンの身体性を生かしたダンスパフォーマンスの様なアクションの後、インフレしまくったスーパーパワー対決を見せられては興ざめする。

前半『田舎娘が戦争に行っても本当に活躍できるのか?』と『真夜中のカーボーイ』の主人公を見る様な不安を感じていた自分がバカらしくなる。挫折もないし、無双はつまらない。正直アレスが出てこなくて、その代わり尺を30分短くして欲しいとすら思った。

あとこれはどうでも良いけど『トレインスポッティング』のスパッド役の俳優さんが出て来た。『あの人、麻薬中毒者役以外もできるのか』と思った。
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