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リリーのすべてのfukaのレビュー・感想・評価

リリーのすべて(2015年製作の映画)
5.0
手術後のリリーの"あなたが描く私の姿に少しずつ近づく"と"I am entirely myself"と"これほどの愛に私は値しない"という言葉が全てを表していた。

アイナーに夫/男性でいてほしいと願いながらも、ゲルダが絵を通してアイナーの中にいるリリーを見つけ出し、リリーを導いたのは、お互いに画家である夫婦だからこその過程なんだろうな。
恐らくそのことにある種の責任感を感じたからこそ、そしてアイナーとリリーの両方を心から愛し慈しんでいたからこそ、リリーになった(元)夫のそばに寄り添い続けたゲルダの姿はとても強く、切なかった。

2人の複雑な感情や葛藤が本当によく描かれていて、だからこそ観ていてとても胸が詰まり苦しかった。

段々と線が細くなり、仕草も雰囲気も女性らしく柔らかくなっていくエディの演技が素晴らしい。デパートで働き始めた時の姿は女性そのもので、生き生きと輝いていて驚いた。

画面から目が離せないくらい隅々まで美意識の行き届いた映像美も含めて、本当にいい映画だった。
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