ジン

リリーのすべてのジンのレビュー・感想・評価

リリーのすべて(2015年製作の映画)
4.5
トランスジェンダーの男性のお話、としか前情報が無く観ました。
勝手に、奥さんのゲルダは早々に女性としての夫を広い心で受け入れるのかと思っていましたが…そんな訳がなく。
アイナーとゲルダの苦悩と葛藤は、『もし自分が、愛する人が、突然違う生きものだと気付いてしまった時、その愛を貫けるのか』と考えずにはいられないものでした。
自分の性別に違和感を感じ、それを正そうとすればするほど、愛する夫が別人になり、女としての喜びを得ようとする姿をゲルダは最後まで受け入れることは出来てなかったんじゃないかと思います。ただ、愛する人の幸せを願っただけ。そこが、観ていて心苦しかったです。
やっぱり、ゲルダに感情移入しちゃいますね。
で。エディ君どんどん綺麗になっていきます。すごいです。そりゃ思わず筆を握っちゃうくらいに美しいです。
女としての自分に目覚めていく過程は、痛みを伴って耽美です。
震える指、首筋に添える手、そして窓ガラスに映る自分への眼差し。
素晴らしかったです。涙が出るほどに。
ラスト、アイナーとゲルダが、本当の意味で自由に飛び立てられたのなら、と思います。
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