ゴダール⑤
思い当たる節が多すぎて諸々の辛さがフラッシュバックしつつ、なんだゴダールお前もかという謎の安心感やら同胞意識やらを覚える。出来はともかく思い入れはゴダールベスト。
女は男を軽蔑する。普遍的な男女のすれ違いを、神話になぞらえながら、また、自身の映画制作の苦悩や葛藤と交錯させながら鮮やかに描き出す。
映像面で目を引いたのは原色トーンの画面、ロケ地(カプリ島)の神話的美しさ、それからブリジッドバルドーの身体性、官能性。ジョルジュドルリューの美しい音楽が見事にこれらを引き立てており、それだけで100分飽きずに見ていられる。
当時のセックスシンボルであるBBを招き入れ、大量の資本が投入されて製作したというゴダールの中では異色の作品らしい。
監督役にラングを起用するなど随所にゴダールらしさは垣間見えるものの、他作品と比べるとその色は相当薄まっている。
BBの裸体をやたらと出すなどプロデューサーの意思が介入されていて、映画内でのいざこざが映画の外にそのまま表出してしまっているのも面白い。