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セバスチャン・サルガド 地球へのラブレターのRYUJI_COMのレビュー・感想・評価

4.6
素晴らしい、写真家としての、そしてひとりの人間としての彼にものすごいエネルギーを感じた。2〜3人分の人生をこの人は生きている。キャリアのピークで撮影した、アフリカ難民キャンプ、クロアチア難民キャンプの写真は、いかに人間が愚かで残酷な生き物かが魂に訴えかけてくる。そして人間という生き物に光を見出せなくなったサルガドが、環境という問題に取り組み、美しい風景や自由で力強く生きる動物たちを追い求めて、これまでとは違った視点で地球の顔を捉える。人間の愚かさ、怖さ、残酷さ、醜さ、虚しさを知り尽くしたサルガドだからこそ撮れる、美しい風景、力強く生きる動物たちの姿が魂を揺さぶった。美しく壮大な大地、自由で暖かく力強く生きる動物たち、そこに本来の人間の姿をサルガドはキャリアの最後に見出そうとしたのではないかと思う。
人間の根源的なものは何かということを考えさせる、ヴェンダース魂の一本だ。
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