セバスチャン・サルガド 地球へのラブレターの作品情報・感想・評価

セバスチャン・サルガド 地球へのラブレター2014年製作の映画)

The Salt of The Earth

上映日:2015年08月01日

製作国:

上映時間:109分

3.9

あらすじ

“神の眼”を持つ写真家の軌跡を稀代の映像作家、ヴィム・ヴェンダースが解き明かす壮大なドキュメンタリー! 偉大なる報道写真家が辿り着いた、地球最後の楽園ジェネシス

「セバスチャン・サルガド 地球へのラブレター」に投稿された感想・評価

TaTumin

TaTuminの感想・評価

3.0

このレビューはネタバレを含みます

「写真家(フォトグラファー)の人生の映画?
では言葉の意味から始めてみようか
ギリシャ語で″フォト″は「光」
″グラフィン″は「書く」「描く」
″フォトグラファー″とは「光で描く人」を指す
光と影で世界を描き続ける人のことだ」
(ヴィム・ヴェンダース)

1969年、パリで経済学を学んでいたサルガドの人生に、カメラを与えたのは妻のレリアだった。レリアは建築を勉強していて、建物を撮るためにあるときペンタックスSPを購入した。サルガドは妻のカメラを借用しているうちに写真の魅力に気づいていった。

1971年から夫婦でロンドンに移り、サルガドはコーヒー産業にまつわるエコノミストとしてたびたびアフリカの農園に赴くことになった。国際機関の事業に参加し、経営指導や栽培導入のプロジェクトに関わった。その合間に写真を撮っていたが、2年後、彼は職を辞してパリに戻り、写真家として本格的に活動を始めた。撮影機材に私財を費やした。レリアは、やがて父の仕事を映像化し、そこに新たな光を与えることになる長男を産んだ。
そしてサルガドとレリアは、自分たちの時代の緊急課題の一つ、戦争や飢饉による「人口の移動」の追求に、持ち得る知識と経験の全てを傾注していった。

サルガドとレリアの出会いは、二人が傾倒していたブラジルの反政府運動の渦中でのことだった。60年代特有の熱狂が結んだ関係で、頭でっかちな日本の若者たちには到底たどりつけなかった持続的な関係をミニマムに体現している。

サルガドとレリアの仕事を代表的する『ワーカーズ』の出版は、世界の人々の目を開かせた。

ルワンダの悲劇を撮り終えて、一時途方にくれたサルガドの関心は今、自然に移っている。
レリアの「森を作り直そう」という少しイカれたような一言から始まった。
実際は少しもイカれてなどいなくて、具体的には大西洋岸森林「マタ・アトランティカ」(600ヘクタール)を植林し、再生に導くことを彼女は提案した。彼女の提案は有無を言わさぬ力でセバスチャンの目を絶望の淵から引きずり戻した。
セバスチャンは、はじめて人間の外にレンズを向けた。

かつて父に強いられた勉学、妻に与えられたカメラ、仕事先で目にした人々の悲惨な現状、光と影、覗きこむ者を容赦なく引きずりこむ闇、また光、そして自然とともに生きる原住民と怖れのない動物たち、蘇る野生の力……山あり谷あり、狂いもあっただろう、その全ての要素が今日の写真家セバスチャン・サルガドを構成している。彼の光が照らすものたちに彼は生かされている。

2009年、サルガドはゾエ族(アマゾン川流域の先住民族、1980年代に発見)を撮影した。
保護局からは物を与えることを禁じられていたが、ゾエ族の一人は彼に言った。
「帰る日に飛行機の窓からナイフを捨てて。
飛行機の軌道を追ってナイフを探すよ」

「一つのサイクルを作る。その中で私とレリアの人生が過ぎていく。ここは我々の歴史だ。今は老いた私の物語を紡ぐ。いつか死ぬ日が来たら、私が受け継いだこの森を残すことになる。森はサイクルを完結させる。私の人生の物語を。」
(セバスチャン・サルガド)
映画祭にて。
恥ずかしながらサルガドを知らずに観たので、邦題から勝手に環境絡みかと思ってた。一人の写真家の作品のインタビューと写真から広がるスケールは無惨に奪われた人命たちにも及ぶ。写真家としての倫理観を自問する姿がすごく印象に残る。これもしんどい

このレビューはネタバレを含みます

偉大な眼を持つ写真家だと思った。
サルガドとベンダースの彗眼に触れられた気がした。
今まで自分の中でサルガドは悲惨な現場を美しく切り取った写真のイメージが強かったけどこのドキュメンタリーには彼の写真への見方を変てくれほどの力があった。
サルガド自身をブラック&ホワイトで撮ったのはきっとベンダースの彼へのオマージュなんだろうな。
#地球へのラブレター #映画

このレビューはネタバレを含みます


衝撃的な写真の数々。フィクションではない実際にあった恐ろしい出来事や素晴らしい大自然。圧倒される迫力の写真の数々だった。心を病んでしまったサルガドだけど、自然を愛し森を蘇らせ、私有地から国立公園になるまでになった。ジェネシスはそんなサルガドからの地球へのオマージュ。

このレビューはネタバレを含みます

ログライン
地球本来の姿や人間の暴力性を追求し写真に収めた人
Tacky

Tackyの感想・評価

4.6
自分が如何に無知なのかがわかった!
真実はいつの時代でも隠されるから写真家が真実を撮り真実を伝える。
本当にすごい人だと思う!
この人の目を通して見える世界がとても魅力的だと思った。
ちぃ

ちぃの感想・評価

5.0
名画座の予告で気になっていたけど、結局観に行かなかった作品。
とにかく「何か分からんが凄いものを見た」という思いでこのスコア。

「フォトグラファー」の語源はラテン語で「光を描く人」。文字通り光と影(モノクロ)で世界を描き出す写真家セバスチャン・サルガドの生涯を追ったドキュメンタリー作品。

10インチの小さな画面で見ても圧倒されてしまうような迫力を持った彼の写真。
自分が死ぬまで見る事が無いであろう光景も、リアルに感じる事が出来た。
スクリーンで観たらもっとすごかったんだろうな〜。
特にアフリカの難民キャンプを写した作品群は、その凄惨さに息を呑んでしまう。
サルガド自身も心を病んでしまったというのも頷ける。

文明から隔絶された環境でも豊かな暮らしを送る民族がいる一方で、隣人同士が殺し合う紛争が起こったり、多様で残酷な世界を見てきた彼が最終的に“手付かずの自然”に魅せられた事に意味深いものを感じた。

世界は広い。
そして繋がっている。
Jin

Jinの感想・評価

5.0
欲に駆られて採掘場に集まる有象無象、目を開けた洗礼前の幼児の遺体、油田から吹き上げる壮大な火柱、絶望の果てで錯乱する移民、150km続く遺体の道、重機で運ばれる大量の遺体、人間の狂気を切り取った写真の数々。痛烈に何かを感じながら生きたいと思わされる。
>|