荊冠

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破の荊冠のレビュー・感想・評価

3.5
【自分用メモ】
・序で巧みに構築した「フィクションのリアリズム」が、破から崩壊の兆しを見せ始める。
TV版をかなり忠実に踏襲した序に対し、破からオリジナルシーンが増えていくためか? アスカを始めとした各キャラクターの内心吐露の台詞が多すぎるなど何でも「説明過多」だ、近年のコンテンツに顕著な「分かりやすさ」に振りすぎていて、悪い「アニメ臭さ」のにおいがする。TV版で「分からない」と批難されたことへの庵野のトラウマが見える。NHKスペシャルでこぼした「謎を喜ぶ人が減った」という庵野の言葉が蘇る。

・アスカ「孤独なんて気にならなかったのに(←うろ覚え)」「私の世界で唯一の居場所なのに」こういう説明過多な内心吐露を序ではきちんと適切な使用量に留めていたのに何故書いてしまうのか。何よりマリの台詞が一番冗長だ。冒頭で他キャラや本部とのコミュニケーションがないので一人で喋らせるしかないのも分かるがそんなよう喋らんでいい、うるさい。

・鈴原トウジが購買でパンと共に買った牛乳が三角パック

・3号機に乗るのはトウジではなくアスカ。TV番トウジ→左足切断、漫画版トウジ→死亡

・レイが肉を食べられないことが、海を浄化する施設の見学シーンで明らかになるが、ナディアが肉食にヒステリーを起こしていたことを思い出したりして、レイが菜食なのも庵野の投影があるのか、等。

・出て来るコンビニがローソンばっかやな。提携してるんか。

・こんな「お色気シーン」多いアニメだったっけ。序でのシンジがレイに覆いかぶさってしまうシーン、本作での風呂から飛び出したアスカをシンジが見てしまうシーン等は「威勢が気になるお年頃」の演出として自然かつTV版時代から有名だった見どころでもあるが、エヴァ4号機と第二支部の消滅を受けてミサトが浴槽から立ち上がるシーン等、余分なお色気が多すぎて食傷。

・ミサトさんが布団の周り散らかして寝相悪く寝ているシーンで映っている煙草の箱見たことあるような気がするけど何か分からん。赤地に右上に桃色らしい花の柄。ウィンストン?創作か?

・アスカを「大事なサンプルよ」と言って山盛りの灰皿にリツコがねじ込むタバコにちゃんと口紅がついてるの流石。

・だからマリがモヨコ先生まんまなのよ。シンジ「もうエヴァに乗らないって決めたんだ決めたんだ」マリ「そうやっていじけたって何にもいいことないよ」→庵野とモヨコすぎて

・使徒との戦闘シーンだけは序に引き続き無限に見られる素晴らしさ。第8使徒(TV版第10使徒サハクィエル)が一番好きだな。手をつないだ天使のようなオブジェが無数に揺れる演出が良い。押井の天使のたまごに登場する目玉の太陽を想起させる。

・ラストで初号機がBEAST化するシーン、エメラルドグリーンの部位が赤になる演出、天輪が浮かぶ演出、アツイ。ここで「世界が止まったっていい。せめて綾波だけは助ける」の台詞、「シンジ君がエヴァに乗らなくていい世界にする」というレイの台詞と対になっているのが上手い。そして如何にもセカイ系を象徴する台詞だ。

・ラストの神のようになった初号機を見て思うのは、やっぱエヴァのいいところはエヴァが「人も把握できていない得体のしれない生き物」ってポイントだよなーなどと。二足ですっくと直立するロボットこそカッコイイという界隈において猫背デザインされてるのがもともと不気味でイイんだけど、その不気味さにちゃんと設定も付いているのが良い。

・使徒に取り込まれたレイを救おうとするシンジの苦悶の表情、誰の作画? どんどん貞本デザインから離れていくな。



【伏線メモ】
・初号機ダミープラグ拒絶→ゲンドウ「何故私を拒絶する、ユイ」
・リツコ「サードインパクトが始まる。世界が終わるのよ」カヲル「約束の時だシンジ君。今度こそ君を助けるよ」
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