過去に振り回されながらも真面目に生きる男と父親の暴力に耐えて未来に希望を抱いている青年の親子より深い絆を描いたクライムドラマ。
アメリカの片田舎を舞台に描かれる心揺さぶられるヒューマンドラマ。ニコラス・ケイジとタイ・シェリダンという二人の世代を超えた名優が織りなす血のつながりを超えた深い絆に感動した。インデペンデントムービーの良さが詰まっている映画でこの片田舎の憂鬱な雰囲気はインデペンデントならではだと思う。嫌いな人はいないであろうニコラス・ケイジが演じるのは前科者でありながらも真面目に働き全うに生きる男。時折、男の暴力的な面が見えるのもよかった。タイ・シェリダンが演じるのは父親に暴力を日常的に振るわれながらも未来を信じて強く生きる青年。このふたりの会話や関係はとても微笑ましいものでそれが崩れてしまうのがひどく辛かった。リアリティのある映画でただの再生物語ではないのも特徴。画面から常にバイオレンスな雰囲気が漂っていていつ何が起きるかわからない憂鬱な不安がいっぱいになった。画面的には静かな映画ではあるものの目を離せなくなる力強い映画だった。実はこの映画を二年ほど前に観たことがあった。そのときは片手間で観ていたからわからなかったが、この映画はもっと評価されるべき映画だと思う。ニコラス・ケイジがこういうちゃんとしたヒューマンドラマに出ているのを観るとすごく嬉しい気持ちになる。
