Chiaki

二ツ星の料理人のChiakiのレビュー・感想・評価

二ツ星の料理人(2015年製作の映画)
4.0
2つ星レストランの天才シェフと、その仲間たちが織りなす、美食エンタテインメント!!!
久しぶりにこんなストレートなサクセスストーリーを鑑賞して、王道だけど今となっては、貴重な映画に出会えた気がしました(^_^)

この映画のすごいところ。
びっくりする程、豪華キャストが勢ぞろい。

主演、ブラッドリー・クーパー。
やはりこの男は大スクリーンが似合いますね!!料理をする真剣な眼差しは、最早芸術。さすが世界一セクシーな俳優です。そしてまるでレディを扱うかのような優しい手捌き。いっそのこと私を料理して下さい、、。なんて…。違うか!!!!!

このブラッドリー演じるアダムは、過去にパリの一流レストランでミシュランの2つ星を獲得し、料理界で知らない者はいない程の天才シェフでした。しかし実のところは、かなり傲慢な性格で、人の恨みを買うのを得意とし、借金まみれのとんでも野郎。そう!愛すべきダメ男だったのです!
それでも、過去の功績は輝かしく、アダムに憧れる若き料理人や、彼の腕を認めるパリ時代の同僚たちを引っ張って、3年越しに今度はロンドンで3つ星に挑みます。



この時、アダムに無理矢理誘われた美しいシングルマザーの女性料理人エレーヌを、「アメリカン・スナイパー」でもブラッドリーの妻を演じた、シエナ・ミラーが務めています。
キッチンは女の城とはよく言ったもので、普段は娘に優しい笑顔を見せる、ぱっつんヘアーがキュートなエレーヌも、厨房に入った瞬間、コンロのスイッチと共に仕事スイッチもオン。男性シェフに引けを取らない料理の腕前は、まさに戦う女!!
そんなエレーヌも、アダムのダメっぷりに最初は呆れ果てていたのですが、その熱意と垣間見える優しさに、徐々に心を寄せていきます。やはりダメ男はずるい。名誉挽回を狙って更にダメ男っぷりを発揮しちゃうところがまたずるい。料理映画でこんな王道ラブストーリーも堪能できるとは、大変美味しゅうございました(^_^)v


更にアダムの昔の同僚で、良き理解者のトニー役に、最近では「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」でジモ大佐を演じたダニエル・ブリュールが。私の中でこの映画の核となるのは、このトニーの存在。
彼は料理人としてのアダムを信頼しているのではありません。昔から生まれ持った不器用さで自身をボロボロにしてしまうアダムの人間性に愛おしさを感じており、そんな人間だからこそ作れる料理だと、彼を信頼しているのです。
一見アダムの横にいるただのオーナーのように見えますが、最後の1つ星を最も欲しがっていたのは、誰よりもアダムを知る、トニーかもしれません。それは映画である事を知ればよく分かります!
「シビル・ウォー」では冷酷なヴィランでしたが、「黄金のアデーレ」の記者役で醸し出していた安心感が非常にこのトニーと似ていて、なんだか嬉しかったです(^^) 顔もよく見たら可愛い系。今後もダニエルから目が離せません!


その他にも「最強のふたり」のオマール・シー。「リリーのすべて」でオスカーを受賞したアリシア・ヴィキャンデル。実写版「シンデレラ」のリリー・ジェームズ。そしてそして「ラブ・アクチュアリー」や「ハリーポッター」シリーズ の大女優、エマ・トンプソン等が出演!!
こうして振り返るとやっぱりキャストすごいですね…。


ドキュメンタリー番組などで見るリアルな料理長は、怒ると超怖くて、頑張っているお弟子さんが見るに堪えず、苦手なイメージでした。予告でもアダムが思いっきりブチ切れていますが、「キレるやつ苦手」という方でも、この映画は大丈夫!
アダムは天才でも決して完璧ではないのです。所詮2つ星止まりの人間。(星自体は例え1つでも大変素晴らしい事ですが!)そんな彼が自分こそ一番だと誇りを持っている料理を通して、一人では何もできない事に気づきます。それも悲しいほどに惨めな状況で(笑) そうして本当のトップの人間になるまでを、この映画ではリズム良く笑いを交えながら描かれています。ドキュメンタリー番組のような張り詰めた空気よりも、楽しい笑い要素多め!!お客さんはとっても笑っていました(^O^)


この映画に出てくるような、大きな白いお皿に、ちょこん、と盛り付けられた高級料理はあまり食べた経験がないので、未だに未知の世界です。ラーメンとかカツ丼とか、がっつり系の絶品料理は放っておきませんが!でもいつか食べてみたいですね。誰か連れてって〜!笑

それにしてもブラッドリー、かなりムキムキなシェフに仕上がっていて、借金取りをむしろボコボコにできたのでは…なんて思いました(笑)
Chiaki

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