米粉

知らない、ふたりの米粉のレビュー・感想・評価

知らない、ふたり(2016年製作の映画)
5.0
今泉監督が描く「好きってなぁに?」
「サッドティー」を観た時、余計“好き”という感情が分からなくなって、初めて入った下高井戸の喫茶店でハヤシライスを食べながら1人悶々と“好き”について考えたのをよく覚えている。
今回の「知らない、ふたり」でその答えがようやく見えた気がした。
1つの感情をとっても、人によって様々な側面があるなぁと思う。
好きだから一緒にいたい、好きだから一緒にいられなくても誰かと一緒にいることで幸せになってほしい、好きだから独り占めしたい、好きだから身を引く、好きだから自分が幸せにしたい、好きなのに気持ちを伝えられない、好きだから伝えられない。
こうしてつらつらと感想を書いてる今この瞬間にも、広い世界のどこかに「好きだから」「好きなのに」の答えを見つけようともがいてる人が数え切れないくらいいるのだろう。
今まで沢山の“好き”を乗り越えてきたけれど、どれも私が求めているものではなかった。
確かに好きではあるんだけどそれよりも優先したい何かが常にあって、それはある時は自分の時間やプライドであったり、ある時は他の人への“好き”だったり。
変に真面目なので、“ちゃんと好き”が分からないのならこれ以上一緒にいるべきではないという感情が先行する。
「まぁとりあえずこの感じでいいや」は誰のためにもならないと思っているし、少しでもお互いの傷は小さい方がいい。
そうやっていくつもの“何となく好き”が生まれては消えていった。
でもようやくずっと探してた“好き”を見つけた。
その人のことを好きな自分のことも好きになれるような“好き”をやっと見つけた。
私にとっての“ちゃんと好き”はこれだったんですね、今泉先生!
先生の作品は気だるいゆるーい雰囲気醸し出しときながら、突然テポドンみたいな台詞が登場するからドキドキしてしまう。
今回は「長く付き合ってるから分かることって何?長く付き合ってたって分からないことばっかりだよ」っていう言葉が特に印象的で、トゲのように胸に刺さったまま抜けない。
分からないことばかりだからもっと一緒にいたいと思うのかな。
すべてのものは移りゆくからこそ一緒にいる瞬間がかけがえのないものに思えるし、そんな瞬間を重ねることで昨日よりも今日、今日よりも明日に望みをかけたいと思わせてくれる。
その延長が結婚なのだとしたら、どんなに素敵な人生だろうと思う。
最近DAIGOと北川景子の結婚会見を見て、何だか分からないけれどボロボロ泣いてしまった。
お互い好きなところを言い出したらきりがなくなっちゃってるところなんて、もう微笑ましいを通り越して感動したよ。
大切な人の大切な人たちが自分にとっての大切な人たちにもなっていく。
何や結婚ってまじサイコーじゃん。
だからこうやってやっと見つけた“ちゃんと好き”の火を絶やさないように、大切に大切に守りたいなと改めて思うのでした。
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