YUMiC

orangeのYUMiCのレビュー・感想・評価

orange(2015年製作の映画)
3.7
情報をほぼ得ないまま
今どきの胸キュン
コテコテの恋愛映画なのかと思いつつ鑑賞。
が、その想像は大きくいい意味で裏切られる形に。

主人公の女の子の手元にやってきた
10年後の未来から届いた手紙。
そこには多くの後悔が綴られていて
何よりも大きな後悔は
友人であり恋心を抱いていた
男の子を失ってしまったこと。
その男の子との時間や命を救ってほしい、
そんな非現実的な手紙を頼りに
内気な少女が未来を変えようとする話。

ただの若い高校生の2人だけの間で
繰り広げられる物語なら
こんなものかと終わってしまっていたと思う。
でもそこに加わって
周りの友人たちがふたりを
暖かく見守り助ける。
その仲間たちが本当にいい子たちで
彼らの友情は本当に美しくて
青春時代から遠のいてしまった
私には彼らの純粋さや優しさがとてつもなく素敵だった。

そしてこの映画で核となる
主人公の男の子が抱える
明るい青春とは反対の世界にある闇。
思春期だからこその葛藤や孤独。
思春期に境遇は変われど
同じ感覚を持った人なら誰しも
彼の孤独に共鳴すると思う。

それでも助けてくれる仲間がいる、
一緒に泣き、笑える人がいる。
苦しい現実にその大事さをわかっていても
抜け出せなくなって
見失ってしまう事は多い。
でもそうではないんだといかに
気づけるかなんだと感じる。

この映画は生きることに立ち向かう
友情映画だと思う。
ただの恋愛映画だと見てしまうと
不覚にも涙腺をもってかれる。

パラレルワールドや
重いテーマの中に胸きゅん誘いますと
若干ごちゃまぜ要素に
色々な意見はあるとは思うけど、
純粋に青春映画として楽しめた1本。
YUMiC

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