ばりう

マネー・ショート 華麗なる大逆転のばりうのレビュー・感想・評価

3.2
ベア・スターンズ、フレディマック、ファニーメイ、リーマン・ブラザーズ、破綻の後、「核のボタンに匹敵する」と言われているのがCDSである。

世界的投資家ウォーレン・バフェットは、CDSの事を「時限爆弾(英: time bomb)」「金融大量破壊兵器(英: financial weapons of mass destruction)」と呼んで、自社バークシャー・ハサウェイによる投資を禁止したと語ったことがある(後に実際には投資中であることが明らかになった。2014年までの債務があるという)。

この例で明らかなように、一旦結ばれたCDS契約は長い期間続く。破綻した理由を問わず保証するのがほとんどであるから、逃れるすべはない。CDSの売り手は参照企業のデフォルトリスクが高まるにつれ用意しておかなければならない証拠金が高騰し、その資金を信託会社に山積みするために大量の現金を必要とすることになり、自社保有の金融商品などを健全なものまで含めて投げ売りしなければならない事態も発生する。契約単位は一本が数億円単位であり個人投資家など最終的なリスクテイカーへの販売を想定しておらず、信用不安などによりいちどCDSの流動性が損なわれれば転売は極めて困難である。現実にデフォルトが生じた場合はすべて偶発債務となり損害が生じ、赤字決算におちいったり配当が支払えなくなったり、信用面でも格下げなどにより市場からの資金調達も困難となり、借り入れても金利が高くなりうる。 会計操作による粉飾決算への動機が非常に高く、市場からの信頼を呼び戻すのに時間がかかる。これから十数年も続く危機の始まりである可能性がある。