好きな感じの映画だった。
珠とたくやの関係についてはもう少し描かれても良かったのではと感じたけど、たくやや教授との関係、人間性をより表すために要所要所に一瞬挟まれた「尾行」のシーンが効果的に機能していたと思う。
珠→石坂、たくや→珠、石坂→珠(尾行ってほどではないけど)、珠→教授&奥さん役の人、教授→珠、と静かに相手への関心と尾行が伝播していくのがうまく描かれていたと思う。
そもそも「尾行」を論文のテーマとして扱うのは大丈夫なのか？という疑問はあるし、途中まで若干の歯切れの悪さを感じたし、論文の締めくくりも詩的というかエッセイのようでそれでよかったのか？と感じたりはしたが、まあそこはフィクションだからこそ取り上げられることだよなと割り切った。ユニークな題材だと思う。人間の描き方はよかったが若干尾行を良いものとして描きすぎている感じもあり、論文の文章が入ることによって主題が少しぶれている気もしたので、なんかそこを珠なりの言葉や行動で最後うまく表せられたらよかったのになぁと感じた。
最後のシーンで石坂家の回復、たくやと珠がそれぞれ違う方向へ進むシーン、指輪をはめたまま珠を尾行する(?)教授の姿が一瞬映されたのは綺麗で救いのある終わり方だったからフィクションとしてはよかったと思う。
