ぴんじょん

猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)のぴんじょんのレビュー・感想・評価

3.0
猿はいいんだけどね、猿は。

「猿の惑星」のリプート版の三作目。

猿たちの映像技術はまったく目を見張るものがありますし、それなりに面白くは見ることができたのですが、やはり、初代『猿の惑星』とは方向性が全く違いますし、SFとしてのセンスにかけていると思うのです。

『猿の惑星』第一作は、原作者の第二次大戦中、日本軍の捕虜になった時の体験が下敷きになっているものとか。
ただし、これには反論もあって実際のところはよくわかりませんが。
ただ、かの第一作では、猿に対する共感はほとんど描かれず、猿が人類にとって代わってしまったことへの脅威のみが描かれ、それが、ラストの驚愕への伏線になっていました。
ところが、本シリーズではなぜ猿が人間にとって代わったのかを、なにやかやと説明をつけ、見る人を強引に納得させようとするばかりで、かえってSF的な面白さはなくなってしまっています。
見るべきは猿を描く特殊技術ばかり。

虐げられた猿たちへの共感は呼びますし、猿を描き出す特殊技術も、この猿への共感を高めるためばかりにあるかのように思えます。

でも、このストーリー展開なら、なにも猿を主人公にしなくてもいいように思えました。

また、『猿の惑星』第一作では猿が人類にとって代わるまでに、何代にもわたる長い時が経過していたかのように描かれていたかと思うのですが、このリプート版では、あっという間に知性のある人類が滅び、猿にとってかわられたように描かれてしまっています。
そこも興ざめ。

シーザーの息子の名前がコーネリアスだったり、口のきけない女の子の名前がノバだったりするのも変に言い訳じみていてよろしくないと思うのです。

2020/11/8 18:26
891-2
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