Karen

神のゆらぎのKarenのレビュー・感想・評価

神のゆらぎ(2014年製作の映画)
4.5
ドラン出てるわ観なあかんな〜くらいで観たけど、おもしろかった. なんの前知識も入れずにみたけど、群像劇であるうえに結構時系列がシャッフルされてるので勢いがつき始めた40分すぎたあたりから結構おもしろくみれる.

エホバの証人であるエティエンヌとジュリーを中心に据え、物語は展開されていく. エティエンヌは白血病だが、エホバの証人は輸血拒否(血が混ざることは不浄とされる)のスタンスをとるため、彼は自分が白血病であることを隠している. 知っているのは婚約者で看護師のジュリーだけ. 輸血さえすれば彼は助かる、彼を死なせたくない、でも神の御言葉に従うなら輸血は許されない. さあ自分はどうすべきなのか、

さて、そんな信心深く、清く生きようとする彼らの他の登場人物は、情熱的な不倫に燃える老カップルやお互いに絶望しつつもなあなあに暮らしてるアル中、ギャンブル狂の夫婦、そしてワケありの麻薬運び屋……などなど. エティエンヌとジュリーたちの対比として、こちらの方達はそれぞれ大きな苦悩はあるけれど、かなり自分たちの欲に忠実に(ふりまわされてる?)生きている. あれですよね、エホバの証人は淫行、麻薬、飲酒は汚れた行為とみなしてるようだしその対比でもあるんだなとあとあと調べててわかりました……


なんかもう全部物語を語ってしまいそうなのでこの辺で、やめときますが、最後のジュリーとエティエンヌのシーンがとてもよかった. 切ない……ジュリーは結局患者のために輸血をしてエホバの証人としては会を追い出されるのですが、それは彼女が並々ならぬ覚悟を決めて、エティエンヌを助けるために決意したことだったんですよね. 彼を救うために、彼の道を作ったというか、少し恩着せがましいいい方だけど. エティエンヌもそれはわかったうえで、それでもジュリーを切り捨てた. 自分がエホバの証人であることを捨てられなかった. その、切り捨てる直前の、あの2人のシーンが素晴らしかったので、ぜひみてください、静かに、強かに自分を信じはじめたジュリーが凛としてて美しいし、エティエンヌが刹那にみせる弱さや本音が切ない


『沈黙』をみたときも思ったけれど、神を信じるなとは言わない. でも時に自分や大切な人を救うのは結局地に足がついてる自分だけなのかもしれない

長い!!!!
Karen

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