COZY922

エベレスト3DのCOZY922のレビュー・感想・評価

エベレスト3D(2015年製作の映画)
3.6
切り立った険しい峰、荒々しくも美しい岩肌、日差しに輝く山腹。エベレストを含む世界の屋根ヒマラヤ山脈の、雄大で人を寄せ付けないような厳かなショットに目を奪われた。北海道や安比,ウィスラーやシャモニー. サースフェーなどのスキー場のトップから眺める 雪で覆われた山なみの荘厳な美しさや、夏のヨーロッパアルプス山麓の牧歌的な美はよく知っているけれど、これはヒマラヤ, エベレスト。人による構造物が一切視界に入らないのはもちろん、天により近い領域の高さで険しさも桁違いだ。映像についてはその素晴らしさを堪能できた。

一方、人間ドラマとしての描写に関しては1人1人へのフォーカスが高山の空気なみに薄いのはどうしても否めない。これは実話ベースかつ登場人物が多く、起きたことを満遍なく忠実に再現しようとしたためだと思う。山映画でも、そこに挑戦する特定の人物の葛藤や試練を扱ったもの、成功までの道のりを描いたものなど様々だけれど、本作の主役はタイトルが示すとおり あくまでもエベレストなのだ。山の神々しさ、驚異、大自然の前では人の存在がいかに小さく、時に無力なものであるか。だからこそ、そこへ足を踏み込みたくなる。そんな世界を3Dならではの映像で魅せてくれた。

ただ、それを承知で正直に言うと、もう少し特定の人物に深く焦点を当ててもよかったのかなと思う。この時、複数の隊が登頂を目指していたこともあり何しろ人が多過ぎるうえに、当たり前だけど皆 登山用のウェアで、しかもヒゲ面の山男ばかり(ヒゲじゃない人もいたけど(^^;;)。結果、誰が誰だかわかりにくい、というか ごく一部を除いて同じに見えてしまった(笑)。

特筆すべきは映像なので観るなら是非、映画館の大スクリーンで観てほしい。

蛇足だけど、エベレストみたいな山にも商業登山なるものが存在するんですね〜。その事実に関しては正直呆れました。軽い気持ちで一般人が登頂を目指す山じゃないと思う。。
COZY922

COZY922