みか

オーバー・フェンスのみかのレビュー・感想・評価

オーバー・フェンス(2016年製作の映画)
4.7
2016.7.12(火)
完成披露上映会
函館市芸術ホールにて鑑賞。
【舞台挨拶登壇】
山下敦弘監督、オダギリジョー、蒼井優、満島真之介

ある事情で東京から地元である函館に戻って職業訓練所に通う白岩と、同じ訓練所に通う代島。
ある日、代島を通じて風変わりなホステスの聡と出会う。

舞台挨拶で山下監督が「全員が突出していて、全員が主役の映画」「この映画のテーマが決まらない」と。

この作品は、それぞれの人の生き方や価値観で、かなり見方が変わると感じた。

三部作である『海炭市叙景』、『そこのみにて光輝く』とも共通しているのが、閉塞した環境でのしがらみや、人々のもがくような生き方。

誰もが何かを抱えながら、日々生活している。
白岩だけでなく、脇役である人々の人柄も何となく伝わってくる。

オダギリジョー演じる白岩の心情が痛いほど伝わって来るシーンがあり、胸が痛くなった。

蒼井優演じる聡の設定がかなり原作とは異なる為、少し戸惑ったが、それは予定調和なのか。

初見であり、まだ頭の中で整理出来ない部分が多く、あまり感想とは言えない気も…。

ただ、刹那的な生活をしている白岩をたまらなく抱き締めたくなった。

自分自身のいつも我慢していたり、見ないようにしている部分を抉られるような映画なので、精神的に既に落ちている時に観るのは控えた方が良い。

観る人それぞれにとっての柵の向こう側とは何かを考える為の映画なのかもしれない。

原作をもう一度読み直して、全国公開に備えようと思う。
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