さとー

湯を沸かすほどの熱い愛のさとーのレビュー・感想・評価

湯を沸かすほどの熱い愛(2016年製作の映画)
3.6
おかあちゃんの愛を享受した者はどんな困難や苦悩に苛まれても立ち向かって前向きに歩んでいける物語。
学校でいじめに遭っている安澄が叱咤激励だけで立ち向かっていけるというのは少々説得力に欠ける気がした。あれは正直、安澄は元々そのようなポテンシャルを秘めているのではないかと疑ってしまう(15年間かあちゃんと培ってきた生活のおかげなのかもしれないのでなんとも)
鮎子に関して言えば最初は物分りが良く聡明であることに反して、未熟さからくる純粋さを兼ね備えた見事なキャラ設定が後に活きてくるのかと思いきや我慢して強がっていたのが解けたせいか、ただの純粋な子と化してしまったのは少々残念。泣かせる為の少し過剰な演出もちょっと気になる。

などと個人的な不満はいくつかあるけれど、宮沢りえさんと杉咲花さんの演技には圧倒されました。
たまに弱さを見せつつもしたたかで器量の広いおかあちゃん、そして終盤の病室で安澄が語りかけるシーンは呼吸の間隔や何を訴えているのか読みとるのが難しいあの表情の機微だけで自然と涙目になりましたね。
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