フジもんだよー

デジモンアドベンチャー tri. 第1章「再会」のフジもんだよーのレビュー・感想・評価

2.0
「これ、映画か?」

ド世代アニメの復活。そして設定はあの頃の太一達の三年後。同じ年頃にデジモンを見ていた大学バレー部の同級生と見てきました。
ではどうだったか?もちろんアグモン達に再会できてよかった!しかし、ヒドイ出来の作品でした。「えっ…マジかよ」っていう箇所のオンパレード。もはやそれを超えて「あーあ、やっちゃった」っていうね。
大きく気になった箇所を羅列してあげていきます。

・デジモンの進化問題
確か僕の記憶だと、テレビアニメではデジモン達全員で進化する時って画面を分割してそれぞれ描いてたと思うんですよ。でも、映画内では一体一体の進化を別々に丸々一曲分使って描いてるんです。時間尺の限られた映画の性質上、やっぱりダレますよね。作り手の観客に対する「久しぶり見てるんだろ。だから一体一体の進化を見せてやるよ」っていうサービス精神かもしれないですけど、「またかよ。もういいから闘ってくれ。パタモン(エンジェモン)!」って僕はキレました。

・最初の戦闘のシーン
最初のグレイモンの戦闘シーンで背景(天候)が、いきなり変わるんです。要は闘っている時に時間経過が起きてるのに全く描かれない。せっかくデジモン同士最初に闘ってるシーンをあまりカットを割らずに結構上手に描いてるのにそれを取り巻く状況、時間経過を全く説明しない。
率直にいうと下手ですよね。シーンのつながりの不自然さって話の没入を阻止するので最悪です。

・主人公の葛藤と見せ場の無さ
物語で大事なことって間違いなく主人公のもつ葛藤と、窮地に陥った主人公の葛藤の超克の仕方だと思うんです。この映画の主人公、太一の葛藤は街中でデジモン達が戦うことによって生じる市井の人々への被害から、怖くなってもうデジモンと闘うのはよくないって思うことですよね。でも、ボス的な怖いデジモンに最後、太一が追い込まれる窮地って他のデジモン達の負傷なんです。デジモン達が闘うことで負傷する人達を見て、「闘わなくちゃ」ならわかるんですけど…ようは闘わなくてはいけない動機が、結構深いのに「なんだかんだヤマトとまたあの楽しかった頃みたいに闘いたいな」みたいな、すり替えがおきてるんです。ドラゴンボールだってクリリンが殺されるから悟空がキレてスーパーサイヤ人になるんでしょ。
そしてボス的デジモンとの戦闘で勝つ段取りもハチャメチャ。観客が見たいのってメタルグレイモンに進化しても勝てない、ウォーグレイモンに進化してもボコボコにされる…。観客に負けちゃうのか…と思わせての奥の手オメガモンになって最後に勝つ!だと思うのに、すごい端折っていつの間にかオメガモンになってて、あっさり終わる。ようはこの映画に見せ場がちゃんと用意されていないっていう。ふざけんなってやつです。

・クワガーモンの使徒感
なんか全体を通してクオリティの低いエヴァっぽい。間違いなく意識はしてる。そしてクワガーモンが使徒にしか見えない。もしかしたら台場町の実体は第三都市東京なのかもしれない。

でも、いいんです。1500円払うだけで劇場で「Butter-Fly」が聞けて、ノスタルジーに浸れるんだから。

あと確信しましたけど、バルト9とかT-joyといった東映系列の映画館って間違いなく音のボリュームいじってますよね。他と比べて物凄いデカい。爆音のちょっと前くらいまで絶対上げてる。あんまり恋愛物とかの映画を見に行くときは、東映系列の映画館は絶対避けたほうがいいかもしれない。