こうよう

セーラー服と機関銃 卒業のこうようのレビュー・感想・評価

セーラー服と機関銃 卒業(2016年製作の映画)
4.0
「夫婦フーフー日記」の前田弘二監督と 「きみはいい子」「そこのみにて光輝く」で脚本を務めた脚本家高田亮さんの個人的に大好きな人同士がタッグを組んだ作品。(この二人が過去に何度も組んでいることを知らなかったです。)「セーラー服と機関銃」、「角川40周年記念映画」「橋本環奈初主演」という様々な大きな看板を背負いながらも、しっかり一つの作品として仕上げられた面白い作品だと思います。

正直、好き嫌いがはっきり別れるタイプの映画であることは確かです。脚本上、設定上、演出上の粗さもあります。ですが、前田監督の作り出す独特な空気感、ユーモアセンス。脚本家高田亮のリアルな台詞回し、 メッセージ性のある台詞をさりげなく織り混ぜる手腕。この映画における少しの粗さなんて気にならないほど、良い部分がとにかく際立つ映画だと思います。

ただのエンタメ作品で終わらせないオリジナルな解釈も素晴らしいなと思いました。そもそもこの設定自体がこの現代社会において馴染むのか?という根本的な「セーラー服と機関銃」の世界観の問題を様々な配慮や考えられた解釈で解決してみせたストーリー構築は本当に見事だと思います。またこの作品をただのエンタメ作品として終わらせず、現代社会の問題をエンタメ性を損なわない程度で見る側に訴いかける「現代社会」という設定ならではの解釈が行われていて、そこも面白いポイントだと思います。

キャスト陣も素晴らしく、特に今っぽさがある悪役の安井役を演じた安藤政信は表情に迫力があって、本当に怖かったです。主演の橋本環奈も演技経験が少ないからこその演技が凄い魅力的で、とても良かったです。

とにかくこの映画は減点方式ではなく加点方式タイプの映画だと思います。好き嫌いが別れるこの映画。私は"大好きな"映画でした。
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