荊冠

Begottenの荊冠のレビュー・感想・評価

Begotten(1990年製作の映画)
5.0
監督自らフィルムをやすりがけたという荒く不鮮明な映像はまるでディープウェブで拾ったそれのような危険な緊張感とアングラな愉悦に満ちている
本作がホラーにジャンルされているのが解せない。確かにグロテスクかつ不可解なカルト作品であることは間違いないが、本作は例えるなら人々が忘れた原始の神話である。
男神と女神のデストルドー漂う交配、血と汚物にまみれた奇形の子、暴力の狂喜と喪失の哀しみ、死と再生……傷ついた画面の奥から浮かび上がるのは、豊かな詩情と暗い啓蒙に他ならない。そしてそれが、僕が映画に求める最上の美学であるのだから、本作は今この瞬間にとてつもない金字塔として胸の内に聳え立ったと言って差し支えない。
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