シナモンメルツ

シン・エヴァンゲリオン劇場版のシナモンメルツのレビュー・感想・評価

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エヴァを一気見する権利を有していたのでそれを行使してきました。1日で4作。その上での感想を綴ります。

まず中盤まで戦闘シーンがなくのんびり日々を消化していく、というのが不安になる程新鮮だった。綾波レイが田植えしてたのも意外すぎるし、アスカと同級生のほんのりと恋愛色の漂う感じも、ああ全然違う世界線なんだな、と思わされる。
ニアサードインパクトでいなくなってしまったカヲルくんの衝撃を引きずるシンジくんの姿に、見覚えのようなものも感じてしまうし、今作は割とシンジくんに共感しやすい構造なのかな?
ネルフの対抗組織(名前は忘れた)を結成したミサトと加持さんと子どもを作ったという展開熱すぎる。
マリとアスカの百合感もたまらん。マリが良い味すぎる。
ミサトがシンジくんを送り出すシーンで泣きました。「シンジくんがエヴァに乗らなかったら14年前にとっくに死んでいた」憎んでしまう気持ち、でもそれ以上に子どもを思いやる気持ちの芽生えをミサトの中に感じてほんとうに泣けてしまった。
そういえばアニメ版だとエヴァに乗って精神汚染みたいな設定があるけど、映画版だと覚醒することで使徒化するとなっていて、そこがびっくりしたな。使徒を意図的に作り出せる根拠にもなっている気がする。
一緒に行った人とも話していたけど、ゲンドウの独白がかなり多いから、今作はゲンドウの物語のように思った。
親殺しの衝動をシンジくんが抱え続けて、アニメ版だと絶望のエンドだけど、映画版だと希望が光っていた。和解してるもんね。これはかなり私的な、個人の感情に基づく感じがしたな。監督自身が救われたいんだろうな、と。
カヲルくんはループ説あるよね。実はカヲルくんが何度も繰り返している世界を映像で映しているだけでアニメ版も生きている世界なのかな、と思ったりした。未来日記感あったなあ。
ラストシーン、マリと駅で待ち合わせるラストは、2人とも無事に年を取ることができるようになったことを暗示している。エヴァンゲリオンのない世界を望んだシンジくん、神の領域に達してそれを行使して、世界自体を書き換えたとわたしは読んだ。
ユイの写真に確かマリが映り込んでたよね。マリはユイへの個人的な思いもありそうだな、という感触。
映画版は大人がクズじゃなくてちゃんと大人として描かれていて、そこの対比も冴えていた。
そして最後にアニメーションの進化よりもCG技術の向上を感じた。そこだった。

長くなったけど。
後半ぼろぼろ泣いたし、ああやさしく終わっていったな、と思った。相当期待値高い状態だったけど、それを満足させてくれる、収まりの良い作品だった。
でもあえて言うなら、アニメ版の方が圧倒されたし心は死んだ。