AKIRA

エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中にのAKIRAのレビュー・感想・評価

5.0
今もっともアツい映画人リチャード・リンクレイター監督の最新作。折しも先ごろGucchi's Free Schoolの青春映画学園祭で幻の初期作品『スラッカー』が日本初公開されたこともあり、映画ファンの『エブリバディ・ウォンツ・サム!!』への期待値は最高潮に達している。

そんな期待に120%応えた本作は、『スラッカー』から『バッド・チューニング』までリンクレイター監督作品のエッセンスを全部盛り。バカバカしくもかけがえのない青春のお祭り騒ぎを2時間に凝縮してみせた。青春映画ではヒールとして冷遇されがちなジョックス(体育会系)を主人公に据え、彼らにも感情や悩みがあることをサラリと描き出しているところもニクい。もちろんリンクレイター作品にしばしば登場する奇妙なキャラクターも登場するので、ファンの方はご安心あれ。自称153キロを投げるプロ志望の野球部員が放つ捨てゼリフ「枕に気をつけろよ!」の真意は最後まで謎のままだ。

個人的には前述のGucchi's Free Schoolが上映を手がけたサマーキャンプ映画『Wet Hot American Summer』からの直接的な影響を感じる(時折挿入される時刻表示や、登場人物のTシャツが微妙に被っているなど)。これはリンクレイター監督による、青春映画の同志ともいえる『WHAS』への愛ある返答なのではと思う。青春映画は素晴らしい...みんな、映画館に青春映画を見に行こう。
AKIRA

AKIRA