Matsumaru

エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中にのMatsumaruのレビュー・感想・評価

4.6
ずーと続いているこの瞬間は戻ってこないということを、心の中でどこか僕たちは気づいている。だからバカな時間を全力で過ごしている。


それこそ大学生としての生活が始まる3日前からカウントダウンの表示が画面に映し出され、今動いてるこの瞬間性が強調されている。


何者かになるために向かっていく、それがプロの野球選手となるためという彼らは、バカ騒ぎそれ自体がその時間を過ごす本人達の人生そのものになっている。
観ている側も彼らの生活をずっと見ていたくなるような、秀逸な会話劇と、ハレンチ騒ぎ。

しかし所々で伺われる、この時間が終わってしまうことに触れる描写。チームメートは実は30歳で偽名を使いながら大学を渡り歩いている。「野球が好きなんだろ。あとこの大学生活も。」バカにしつつも、どこかでこの時間の貴重さを想う演出に、僕は心の中で号泣。


また監督過去作バッドチューニングとセットで見ると、それぞれの年代で感じる青春と成長の描きかたを、一層繊細に感じとれる。そして監督彼自身も、映画を作る中で成長を遂げてきたんだなと思う。
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