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ウォー・マシーン:戦争は話術だ!の百合のレビュー・感想・評価

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夢と批評性

いやほんと話術は使ってないよね。もう原題のままでいいでしょうがなんで無理矢理邦題つけようとするのいつもいつも…
ティルダ様が出てきて驚いた。ラッセル・クロウもいたし豪華さよ。
軍人という物語に幸か不幸か生き続けられてしまった男の話。それをひとはしばしば夢と呼ぶが、夢はいつも覚めることを求められる。批評性を捨て、War Machineになりさがった軍人は規律を重んじ、異常なまでにルーティンに固執する。解任を言い渡された朝でさえ走る背中を、カメラは徹底的に距離を保った視点でまなざす。
でも、扇情と冷静のバランスの取り方が上手くなかったなと思う。部隊をムダにカッコいい音楽で飾り立てるそのひねくれた姿勢を、戦闘シーンでももう少し維持できなかったのかと…あの黒人兵士に観客の目を同期させるのはやりすぎだろう。もっと引きで冷たくとらえるのがよかった。
ムスリムの権力者たちを概して愚かに描くのは勇気がいる行為だったろうなと思う。そこは評価したい。自分の国のことに‘巻き込まれて’最後はアメリカ人に‘頑張れ’という姿勢。あれはそういうものへのメスだと考える。
語り部の力でかなり分かりやすい構造になってはいるが、それも映画としてはどうかと思う。‘映画としての’状況説明は下手な部類に入るだろう。多いけどね、最近こういう映画。
映像と作りはブラピの監督としての限界というところではないだろうか。監督?プロデューサー?知らないけど、まぁこんなものかと。
ブラピの演技と、中身の濃さでじゅうぶん見られましたが、映画というよりはドキュメンタリーかな。これを押し出すNetflixを映画評論家たちが気に入らないのもわかる。
あとブラピの走り方ダセェって声が結構あるけど7マイルも走る長距離の走り方はあんなもんではないかと…
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