Ryo爺

ドント・ブリーズのRyo爺のレビュー・感想・評価

ドント・ブリーズ(2016年製作の映画)
3.6
「ドント・ブリーズ」は、2016年のアメリカ合衆国のホラー・スリラー映画。フェデ・アルバレスが監督を務め、製作にサム・ライミが名を連ねる。製作会社はゴースト・ハウス・ピクチャーズとグッド・ユニヴァース。

<あらすじ>
マネー(ダニエル・ゾヴァット)、その恋人のロッキー(ジェーン・レヴィ)、そしてアレックス(ディラン・ミネット)は3人で空き巣強盗を繰り返し、金品を盗み金を稼ぐ日々を送っていた。
いつも通り、盗品を金に換えていると、ある元軍人の老人(スティーブン・ラング)が娘を車で轢き殺された見返りに、多額の示談金を受け取ったという情報を聞きつける。
3人は一人暮らしのその老人宅を下調べする中で、老人が盲目であることを知る。
そして計画通り、盗みを決行する3人。隣人は一切暮らしておらず、相手は盲目の老人ただ一人。楽勝に思えた盗みだったが、その計画は老人の思わぬ反撃を受け、綻びを見せ始める、、。






~~以下の内容は物語のネタバレを含みますので、前情報を入れたくない方はご注意ください。~~


<映画の〇良いとこ、△そうでもないとこ>

△悪くはないが、比較すると、、
期待どおり、悪く言えば予想通りに泥棒3人組がスティーブン・ラング演じる盲目の老人に逆劇を喰らい、追い詰められていく。夜に忍び込んだことが災いし、暗闇に追い詰められるのは、3人組の方なのはお約束どおり。(昼間決行すればよかったものを、、)そこから物音、呼吸音1つたてられない、まさに「ドント・ブリーズ」な極限状態が映画の緊張感を演出する。
が類似する映画の「クワイエット・プレイス」を観ていたがために、恐怖感、絶望感はより劣って感じられたのが、残念だったところ。観る順番が違っていれば、緊張を感じる度合いも変わっていただろう。


〇低予算ゆえに、隅々まで生かされる設定、小道具たち
追うものと追われるものの関係がしつこいぐらい何回も逆転する展開がこの映画の最大の醍醐味。盗みに入った3人がいつのまにか老人に追い詰められ、盗むどころか、家に閉じ込められ、その家からの脱出、生還すらもおぼつかなくなるのだ。また老人の飼っているワンちゃんもかなりしつこく盗人たちを追い詰めてくるのもグッド。(なんて犬種だろ?)👍
この映画は比較的低予算であることが予想されるが、家の隅々の構造、様々な小道具から犬まで、家にあった全てが余すところなく生かされていた。


〇なかなかドン引く老人のサイコっぷり
良かったというか一番心に残ったのは、老人のサイコパスっぷりである。
これは完全にネタバレになるが、後半、娘を轢いた女性を代償と称して、地下に幽閉し、自分の子供を妊娠させていたという吐き気を催す所業が明らかになる。妊娠のさせ方がレイプではなく、冷凍保存した精子をスポイトで注入するという種付け方法がまた無機質かつ胸糞な感じでグッド。👍(女性がアメリカザリガニのように引いていく音がする、、)


△ちょっと消化不良な幕切れ
ラストの幕引きであるが、ちょっと中途半端な感じを受けた。個人的にはロッキーが幽閉された女性の代わりになって、種付け直前で暗転!が最も効果的な胸糞かつ恐怖を煽る幕引きかと思われたのだが、、。


<総評>
ワンシチュエーションホラーというジャンル映画としては充分及第点だと思う。低予算ゆえに様々な素材を余すところなく利用しきっているのにも好感を持てた。しかし緊張感や恐怖感という最も映画のポイントとなるところでは、現時点での視聴だと物足りなさを感じたのも事実である。基本悪人しか出てこないので、登場人物の誰にも感情移入できないのも、映画としての弱さにつながっているように思える。
実は続編になる「ドント・ブリーズ2」は劇場で視聴済みなのだが、その原点となる今作の方が出来が良かったことは言うまでもない。
Ryo爺

Ryo爺