だいき

ドント・ブリーズのだいきのレビュー・感想・評価

ドント・ブリーズ(2016年製作の映画)
4.1
2016年公開映画104本目。

死にたくなければ息をするな。

映画を観ているだけなのに、何故か自分も息を止めてしまうくらい、少しでも音を立てると殺されるのではないかと張り詰めた空気を体験できる恐ろしい作品だった。
舐めてた相手が実は殺人マシーンで、普通なら殺人マシーンがバタバタと敵を倒して行く側でその痛快さを楽しむものだが、本作は殺人マシーンにやられる側を体感する。
今までになかった映画体験だった。

単純に盲目老人の顔面が怖いとか、あまりの容赦なさが怖いとか、いくつか怖い要因はあるのだが、一番の要因は善悪の基準が曖昧になっていることだ。
強盗してるけど本当は優しい奴だと見せてきたり、老人が元軍人で戦闘能力が半端なかったり、そもそもどっちが悪いのか分からなくなってくる。
ただの薄暗く狭い家がカオスと化していく、簡単に外に出れない絶望感は凄まじかった。

とは言え、気になった点は結構ある。
まず喋りすぎ。
老人の聴覚が良いと分かったのに同じ部屋にいる時に普通に喋るのは如何なものかと。
完全に自滅行為。
老人も老人で、話の都合によって足音や床が軋む音はスルー。
若者の強盗集団だからとは言え、全体的に音立てすぎで素人感丸出し。
そして老人の足がかなり速い。
ほんの少し前まで後ろにいたのに気付けば目の前にいるという音も立てずにいつの間にか移動している瞬間移動的な速さだった。

20年に一本は流石に言い過ぎだと思うが、実際に息を止めて「やばい、殺される」って思いながら観る最高のホラー映画である。
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