エレファントカシマシ娘

永い言い訳のエレファントカシマシ娘のレビュー・感想・評価

永い言い訳(2016年製作の映画)
4.0
 西川作品が好きなので、楽しみにしていた作品。最初のシーンの重さがストーリーが進むにつれてじわじわくる。大宮家の子どもたちの面倒を見る幸夫は、まるでモックンの姿を追ったドキュメンタリーのようでとても微笑ましくていいシーンだった。是枝さんもそうだが、子役の演技の引き出し方がうまいからそう見えたのかな。
 主人公の幸夫は確かにひねくれ者で自意識が過剰な人物だけど、自分にも重なる部分が多くあって、自分ももしかしたら幸夫みたいな人間なのかもしれないと思ってしまうほどだった。いや、間違いなく自分には幸夫的な人間として大きく欠けているものがあるのだ。だからこそ、こわれゆく幸夫から目が離せなかったのかもしれない。
 塾帰りのバスに乗っている大宮家の長男が、バスの窓越しにバス停まで迎えに来た幸夫たちを笑顔で見つめるシーンはとても印象的だった。大宮家の子どもたちと両親の関係性が間接的にみえてくるような映画的に素晴らしい表現だったと思う。