H4Y4T0

ディストラクション・ベイビーズのH4Y4T0のレビュー・感想・評価

3.5
久しぶりの邦画観賞。密かに公開前から楽しみにしていただけに、ディスク版での鑑賞が惜しまれる程、『狂気』と『衝撃』を肌で感じとることができた作品。
こと物語におけるテーマや、ストーリーの基になったエピソード等、諸説はあるが特に注目すべき点は若き俳優陣の“凄みのある演技力”。
予告にもあるが、正に『怪演』と呼ぶに相応しい気迫と熱意を垣間見ることができた。

特に柳楽優弥・菅田将暉・小松菜奈、各々が出演する他作品を観てもわかるが、役作りに余念がなく、露骨に表現力を提示させたりもしない。
往年の邦画ファンならば、そこはベテラン勢に譲るべきだろうと示唆してしまいそうになるところを、真利子哲也監督の絶妙なキャスティングが根底を覆す結果となったのではないだろうか。

ストーリーに関しては、やや一本調子。
気にならない程度の些細なものだが、暴力に次ぐ暴力が次第にエスカレートして行く展開が大部分を占める。
しかし抑揚激しい暴力的描写は、R15指定作品の中でも圧倒的な存在感を放つ。
人間の心の内に秘めたる怒りや憎しみ、激情に駆られた際の精神状態がリアルに描かれている。
目的や実行の動機についての細かな説明はあえて省き、内容をコンパクトにまとめる為の仕様として『日本映画史上もっとも過激な108分』を作ることに、監督の並々ならぬ努力を垣間見た。
自らハードルを高めに設定したことによって、誰しもが狂気や衝撃を感ずることができたかどうかはさておき、本作におけるテーマ「近年稀に見るバイオレンス邦画」として、大きな爪痕を残して行った事実に変わりはない。
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