俺

ディストラクション・ベイビーズの俺のレビュー・感想・評価

4.3
自己肯定の方法を間違えた人たちの話。

泰良(柳楽優弥)が振るう暴力は、理由のない空っぽな暴力ではなく、自分の存在を自分に証明するために行う暴力なのである。
もちろん他者に対して暴力を振るう事でそれを自己肯定に繋げる、という方法は間違えている。
しかし、常に自分と向き合い、過去の自分を肯定し続けるために戦う純粋でストイックな姿シビレた。

そして北原裕也(菅田将暉)、那奈(小松菜奈)共に自己肯定の方法は最悪。(演技は最高)
だが、そんな彼らの自己肯定の方法は誰しもが心の奥底に選択肢としてあり、理性でそれを必死に抑えつけている。
その理性や倫理というレールから外れてしまうと、繋がる先は悲劇しかないのだ。

このテーマだけでもすごく好みなのですが、それに加えて圧倒的パンチ(内容と混同してしまいそうな表現ですが、印象が強い という意味の パンチ です)があります。

港町と柳楽優弥と向井秀徳。
この三つが揃うだけで胃がキリキリしてしまう。
港町の喧騒、柳楽優弥のギラつき、向井秀徳の音楽の暴力性
視覚からも聴覚からも責められて感情の逃げ場を奪われた僕は、開始2分で映画館で見なかった事を壮絶に後悔しました。クソー!

「まだいけるやろ?オイ…まだいけるやろ?」
他者に言っているようで、自分にも問いかけているようなこの台詞。
これから多様して自分を高めていこうと思います。(危ない奴)
早くも今年の 俺 の流行語大賞ノミネートです。
何の権威もないけどな!
俺