おてもと

バービーのおてもとのレビュー・感想・評価

バービー(2023年製作の映画)
4.0
最近観た映画の中で5点満点と断言できる「プロミシング・ヤング・ウーマン」のプロデューサーであるマーゴット・ロビンが製作・主演の本作は公開前から楽しみにしていました。

映画会社のやらかしで公開前に変なところで話題になってしまっていましたが、作品自体は傑作でした。

人間が自分自身の意思で生きていくことの素晴らしさを比喩や笑い、強いメッセージなど様々な手法を駆使して描き切った点で、後世に残る普遍性を持った傑作になっているのではないでしょうか。

前半部分でのバービー中心の世界と、バービーの添え物として生きていたケンが、バービーとともに訪れた人間社会に衝撃を受け、バービーの世界を欲望のままに変えていく中盤との対比が強く印象に残りました。

物語の展開上ケンは地位も名誉も失ってしまうのですが、けして女性が活躍するためだけの対応勢力として粗末に描かれるわけではなく、彼なりの生き方もしっかりと示しているところが流石だと思いました。

兎に角全編に渡って風刺が効いており、特に「ゴッドファーザー」を語りたがったり、ギターの弾き語りに陶酔するマッチョな男性の描写はいやらしいほどに的確で、笑ってしまいました。

個人的には敵役にウィルフェレルがキャストされているのは知らなかったので、彼が登場した時にはかなりアガりました。やっぱ彼が出ているとコメディ映画のクオリティーが一段上がります。

アジアの一部を除き世界的に大ヒットしていると聞き、子供とその親を動員する日本のアニメと同じく状況を想像していましたが、本作は13歳以下の鑑賞を勧めないレーティングになっているのでそうでもないようです。

確かにある程度社会経験を積んだ大人でこそわかる部分が多く、批評的にも大成功しているのも納得です。

評価4点/5点満点
おてもと

おてもと