このレビューはネタバレを含みます
強烈なパンチ力から“石の拳”の異名を取ったパナマ出身の伝説的ボクサー、ロベルト・デュランの半生を、エドガー・ラミレスの主演で描いた実話ドラマ作品ということで。
印象としては、どこか物足りなさを感じてしまう、中途半端な伝記作品といったところですかね。というのも、本作で描かれているものは、エドガー・ラミレスが演じるロベルト・デュランとロバート・デ・ニーロが演じるレイ・アーセルとの師弟愛を軸に、最大の宿敵であるシュガー・レイ・レナードとの因縁の対決やボクシング界の謎とも言われた「ノー・マス事件」の真相が大半を占め、幼少期からレナード戦までがつまんだ程度しか映し出されず、その分、時代背景の説明に時間が割かれている。そして、事件後で唯一描かれているのはデュランが完全復活を見せた一戦のみ。その後の話は全く触れられていない。なので、正直に言ってしまえば、物語がありきたりで面白みに欠ける。もう少し苦悩や葛藤を掘り下げたドラマが見たかったですね。ただ、俳優陣の演技はとても素晴らしく、中でもフェリシダード・イグレシアスを演じたアナ・デ・アルマスの表情の演技やちょっとした仕草に心惹かれました。シュガー・レイ・レナードを演じたアッシャー・レイモンド四世も高評価ですね。
本作は気軽に観るくらいが丁度良い作品ではないでしょうか。
