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アイリッシュマンのmoonのレビュー・感想・評価

アイリッシュマン(2019年製作の映画)
4.5
特に大きな抑揚はなく一定のペースで進むストーリー。
ギャングものなので殺しはマストだけど痛々しいシーンはないし暴行など大きなやりとりもない。

わたしは通勤など区切りながらみてしまったので大きいダレは感じなかったけど演技、視覚、音楽、に飽きない工夫がされているな〜と感じた。
作中音楽を流しながら車や建物を爆破するシーンが多く、その流れで爆破するかと思いきや音楽が止まっただけで次はなにかあるのか……???と不穏感を出すのがうまい。

前作みたグッドフェローズに続きお馴染みのメンバーが揃い、画面はイケおじパラダイスでそれだけで見る価値あった🥹♡
アル・パチーノの演技を初めてみたけど厄介な役で手に負えない様子がとても似合う。
個人的にはぜんぜん厄介さを感じなかったから
このあとの展開を分かっていても殺されたシーンはかなりショック。そんなに問題児だった???🥲
ジョー・ペシの無言の圧力は絶対でフランクは何事もなく遂行していたけど伝えられたときの表情をみるとやるせなさを感じたので"俺はやりたくない"と言ってほしかった……
ロバート・デ・ニーロが演じているのもあって冷酷な感じはしなかったし性格上うまく立ち回っていた彼は誰からも厚く信頼されていてそれを裏切ることはできなかったのかもしれない。
でもフランクからしたら逆に誰も信じることができなかったんじゃないかな。。とおもう。

父親のことをずっと疑っていたペギー。
組合の人となかなか慣れることがなかったなか
ジミーとは唯一親しくしていた彼女だったから
父親の行動すべてに疑問をもっていたし、
ジミーが失踪したあとの電話のくだりで
父親がジミーを殺したんだと確信していた。
出演数が多いわけではないし会話もほぼないけど
ペギーがこのストーリーのキーマンになっていたとおもう。
フランクとの無言の会話が見ていてすごく辛い。

終盤神父との会話で突如でた「電話なんかできるわけないだろう」というセリフが事件の真相をすべて物語っており、ラッセル同様あの行動を後悔している様子も伺えた。
事件後尋問を受けてもマフィアは絶対に口を割らない。
数年経ちフランクが年老いたときFBIが来ても何も話さない。
でもどこかで私がジミーを殺したんだと誰かに聞いて欲しかった気もする。
それでも最期すべて終わってしまう火葬ではなく土葬にする理由はこの事実は死んでも墓場に持っていくという名のフランクのなかのけじめなのだろうか。

ぶつぎりの鑑賞だったけどさすがの3時間半は疲れた。でも見終わったあとも数々のシーンが頭の中を反芻していてすぐまた見たいと思う作品だった。今度見るときはちゃんとぶっ通しで鑑賞したい。
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