タツヤ

ノクターナル・アニマルズのタツヤのレビュー・感想・評価

ノクターナル・アニマルズ(2016年製作の映画)
4.0
色々な解釈ができる映画ってあるけど、このノクターナルアニマルズはその種の映画の中でも評価されるべき作品だと。

監督のトムフォードは「この物語は人を投げ捨ててはいけないという事を表しています。私たちは現在、何でも簡単に捨ててしまうことのできる世界に住んでいます。全ては消耗品で、人間すらも捨ててしまう。スーザンは外側から見れば自分の理想の人生を手に入れていますが、心は死んでいます。エドワードが送った小説がきっかけでそのことにはっきりと気が付くのです。これが私にとっても重要な、中心のテーマなんです。誰かを大切に思うなら、愛しているなら、簡単に手放してはいけない」

ってコメントしています。


以下は個人的感想ですが
本作品の、意図するところは一言で
『リベンジ』

現実世界と、小説世界、
ノンフィクションとフィクションの中で繰り広げられる展開なので、混乱しますが、
間違いなく言えるのは、エドワードはスーザンに復讐をしたいと言うこと。

理由は簡単で、20年前に自分の小説をばかにされ、離婚しました。
エドワードは、自尊心を取り戻すため、20年後、馬鹿にされた小説、それ自体で復讐するのです。

逃した魚は大きいぞ?って感じです。

大きな話の筋は今のようだと思います。

小説の中で起こってることは、実際に起こったことだと断言できない点において、理解が難しくなりますが、そんなの誰もわからないので…

とにかく、エドワードは自分を愛した人に自分の才能を認めてほしいと。認めて欲しかったと。信じて欲しかったと。

最後に、レストランでエドワードがドタキャンしてこなかったことは、

エドワードからの痛烈で残酷なメッセージが伴った行動で
『愛するものを簡単に手放してはいけない』
監督のメッセージと一致しませんか?

傷ついたら、傷ついた分だけやり返す。みたいなことをレイが終盤で言ってました。

その方法が20年かけて書いた小説であり、レストランのドタキャン。

現実世界では、小説を送り、レストランでドタキャンしただけの話なんですね。

スーザンから味わった劣等感を払拭し、スーザンを通して優越感を感じる。自分自身を作家として成長させるためのプロセスだったのかもしれません。
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