しちみ

盲山(Blind Mountain)のしちみのレビュー・感想・評価

盲山(Blind Mountain)(2007年製作の映画)
3.5

" 日本に生まれて良かったと心から痛感させてくれる正真正銘の鬼畜映画 "

興味本位で「人身売買」について調べていたらこの映画に辿り着きました。雰囲気的に配信サービスにはないだろうな〜と思いつつ、色々と調べていたのですが…日本では未公開の未発売だったとは(O_O)
縁があり、DVDを輸入購入した方に見せてもらいましたが字幕も無いのでなんて言っているか分からないという…(笑)

オフィシャルじゃなくてもいいのでだれか字幕を〜( ; ; )と思いましたが、言葉が分からなくても冒頭から月末まで終始不気味で気持ち悪い雰囲気を醸し出す映画でした。

大学を卒業したばかりの主人公・女(名前すら把握出来ませんでした、ごめんなさい)は就職難にあたり、なかなか就職が決まらない。そんな時にやっと見つかった職が山に薬草を取りに行くという日本人なら如何にも…と思うぐらい怪しい仕事。笑

仕事場へ案内してくれる人たちは実はブローカーで主人公は「ここで待っててくれ!」と言われた場所で睡眠薬を飲まされ知らない農村の民家で目が覚める。慌てて案内してくれていた人や知り合いを探そうとするが誰もいない。そしてお金も身分証明書も何もない。

そんなパニックな時に村のオバさんに「あんたは私の息子の嫁として買ったのよ!!」と告げられる。いや〜なんだよ〜このト・ン・デ・モ・展・開😂 自分が見ず知らずの他人に安金で買われたと知るまでが秒ですよ、秒。序盤ですぐに売り飛ばされちゃう。おっかねぇ。中国やべぇ。

もちろん主人公は抵抗するんだけど、叶うわけもなく監禁されてしまいます。その後も隙を見ては逃げようとするものの、村全体がグルになっているのか分かりませんが村長も誘拐された証拠はあるのか?と全く取り合ってくれない。

そしてオバさんは子供が出来れば逃げられるまいと企み抵抗する主人公を三、四人掛かりで押さえつけレイプします。必死に抵抗する主人公。しかし、泣けど喚けど助けが来るはずもなく…。

レイプが終わり、また1人部屋に監禁されている時に小さい布で体を隠し丸まって一点を見つめる姿はもう表現しようがないです。映画でここまでの顔が出来るのかい?と。もしや、本当にレイプされちゃったのでは…?と心配になるぐらい "絶望"に押し潰された顔をしています。

次第にレイプされても何も感じなくなり、絶望は無になります。あの顔がもう多分一生忘れられない。絶望から先にあるのは無なのだろうか。いま何を思ってレイプされているのか、嫌なのか悲しいのか慣れたのか本当に無なのか。今の私には何も想像出来ないのが心底無力だ。

その後は結局妊娠してしまい、赤子を産みますが主人公が希望を捨てずに試行錯誤して出した手紙が届き警察と父が村にやってきます。しかし、一番の戦慄展開はここから。孫を絶対に渡したくないオバさん、警察も赤子は連れていけないという謎の見解。そして騒ぎを聞きつけた村人たちは…。

ヒィッヒィッヒィッヒィッ〜〜〜
何この映画、興味本位で見る映画じゃねぇ〜!!(笑)
いや、全然笑えないんだけどもうなんていうかこれ映画じゃなくて実話を今写してるやつでしょ?ってぐらい自然。ドキュメントだよ。派手な演出も映画ぽさもない。ただ1人の女が売られてレイプされて妊娠して…そういう映画。中国で上演禁止になったのもよくわかる。

ラストシーンも響くものがありましたね。そういう人がいるからやってもいいと思うアホな奴がいるのも事実だし、けど友人の彼女が取った選択が間違いと非難することは微塵もできない。

噂に聞くとエンディングが2パターンあるようですね。オリジナルの方はありえないぐらいバッドエンドらしいですね。見ることは叶いませんでしたがネットで検索をして結末だけ知りました。怖い。怖い。怖い。

今の幸せを噛み締めて生きていきます。
しちみ

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