とーこ

レディ・バードのとーこのレビュー・感想・評価

レディ・バード(2017年製作の映画)
4.8

映画館でこんなに号泣したの10年ぶりくらいの勢いで泣いた。

観る前に売店に置いてあったパンフレットの見本をパラパラめくりながら、「可愛いけどちょっと内容量が少ないかな…」なんて思ってたんだけど、シアターから出て即行で買いにいった自分がいた。
多分エンドロールでも余韻泣きしてたから顔デロデロだったし、完全に売店の人に「この人ボロ泣きした流れでパンフ買いに来たんだな…」ってバレバレだったと思う。(恥ずかしい…)

そんなにとりたてて泣かせにきてる場面があるようにも感じなかったのに、場面場面のふとした瞬間で涙がツツーっと流れてきて、はらはらと音もなく泣いていたシーンがたくさんあった。こんな映画ははじめてかもしれない。

原因は、恐らく、レディ・バードが抱いていた感情のいくつかが私にとって馴染みがありすぎるものだったからだと思う。

田舎に対する鬱屈とした感情と、都会への憧れ。母親に対するささくれだった気持ちと、母親に自分を好きになってほしいと願う気持ち。

メチャクチャ私事ですが、こういう話は過干渉気味な母親を持ってド田舎から都会にやってきた女にはスゲ〜刺さる。痛いほどに。

何かを強く否定したりも肯定したりもしていない(ように私は感じた)けれど、というかだからこそなのかもしれないけれど、なんだか涙があふれて止まらなかった。

きっと5年後、10年後、20年後と、時を経るごとに感じ方が変わっていく映画なんだろうなと感じる。特に、今はまだ想像の域を出ないレディ・バードの母親の心情に、将来本当の母親になって寄り添えるようになったら、今とまったく違う感想が出てくるような気がする。

多分2018年の私のベスト映画はこれだと思う。
とーこ

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