ぽよ

レディ・バードのぽよのレビュー・感想・評価

レディ・バード(2017年製作の映画)
4.2
ジャケットに写し出された赤いプロムドレス姿のレディバードの瞳はとても凛としていて、前知識なしで挑んだ私は、地に足をつけて立つインディペンデントな女性の話なのかと思っていたのだけど、それはあながち間違いではない。エンドロールを見送った後、この作品に想いを馳せて浮かんでくる画は、100分の中で大部分を占めていたハイスクールでのすったもんだではなく、自分を取り巻く全てを受け入れて大きな一歩を踏み出した瞬間の、その強く優しい眼差しだ。

あまりにも普通の少女の、あまりにも普通な日常がそこには描かれていた。恐らくは誰もが体験しうる心の動きを、丁寧に指でなぞられていく感覚。レディバードの紡ぐ不器用な軌跡のひとつひとつが、どうあがいても私たちの心には刺さってしまう。

母娘間の「わたしを育てるのに掛かった費用を教えなよ、将来絶対返してやるかんな!!」という口論は海を越えた片田舎の街でも繰り広げられている、万国共通の掛け合いなんだなぁと笑った。実家の母に会いたい。
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