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残酷で異常のrinのネタバレレビュー・内容・結末

残酷で異常(2014年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

邦題とパッケージで損をしている作品。
個人的にはかなり好きだった。

ループものではある。が、ループものやSFなど、尺度の違いによって感じ方は人それぞれだと思うので話に納得が行かない部分も、人によってはあるのかもしれない。
ただ、全体を通してみたときに話の内容はわかるので、時間軸云々難しい話はおいておいて、面白かった。

冒頭から何の説明もなく始まるので、主人公に感情移入しやすい。見ていくうちになんとなく話が紐解けて行く感じは良い。
ループ系は時間軸が絡んだりするので、矛盾点が出たりするが、ループというよりかは同じことをもう一度繰り返す感じだと思った。
個人的解釈だと、ループは何度も時間が戻って、同じことをもう一度繰り返すイメージ。
今回のこの映画は、時間軸は一定(テネット風に言うとずっと順行のままで、時間が巻き戻ることはない)で、反復練習のように同じことをもう一度、何度も繰り返すイメージ。なので、ループだと手に入れたものは時間が戻ると手元からなくなる(無い時間軸に戻る)が、順行のままなので、手に入れたものはそのままになる。

それに気付いた主人公が、色々と変えていく話ではある。何度も同じことをするうちに、余裕が出て来るのか、視野が広がり、自身が行っていたことと、妻に殺害された事実を天秤にかけられるようになり、結局は自分を裁いた訳だが、話の筋は通ってるとは思う。

ただ、どっちが先に死んだかの話で、妻が主人公に毒を盛った事実は変わらず、毒で死ぬ前に自殺をした(そしてループ中にであった女性も助ける形で)だけなので、妻になんの裁きも無いのはどうかとは思うが、そこも含めて色々と考えさせられる話だった。
たしかに主人公は妻に、家族に対して行ってきたことは、愛とはいえ重すぎるものだったかもしれない。かと言って妻が毒を盛ったことを許容する理由にはならないと思う。
過去の行いを自身の死で清算することを選んだ主人公の思いも、また愛なのだと思うが、妻の過ち(毒を盛った時点で主人公が死ぬことは確定しているので未遂ではない)は誰にも裁かれないという理不尽。

それでも人の生死に関してかなり考えさせられるお話だったので、一度は見てほしいと思う。
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